統合失調症の初発・急性増悪時の薬物療法について

 

 自分なりのやり方のまとめです。陽性症状をいかに抑え込むか、気合を入れて治療することがとにかく大事!

 

1.抗精神病薬のイメージ(あくまで私見)

 

 ・非定型を選ぶにしても、たくさんあるので、自分なりのイメージを作って使う

 

 ・教科書的には、どの非定型薬も変わりない、と書いてあるが、個々の症例により、合う薬と合わない薬がある

 

 ・抗精神病薬が合うかどうか?について:

向精神薬(抗精神病薬以外も)は、脳の神経伝達物質の調整の程度や作用する場所それぞれが違うと考えられる。そのため、ラジオのチューニングをするように(放送局により違うチャンネル)効くため、多種多様な脳神経回路を持つ患者さんにより、どの程度のチューニングが良いか、違っているから?

 

 ・他の向精神薬もそうだが、やはり、自分が使い慣れて、効果が判定しやすい薬から始めることが多い。

 

 ・以下は個々の薬についての自分の考え方

 

①ジプレキサ、リスペリドン(インヴェガ)は効果が早く、失敗も少ないので安心

 

②幻覚妄想あっても、治療を急がないならエビリファイもいいけど、却って悪化することも

 

➂ロナセンもリスペリドンより軽いのでいいかも =はずれの時もあるが

 

④レキサルティは陽性症状に弱そうで、興奮が強い時は、一時的に強力で鎮静作用のある薬を併用する、という発表が多い

→ジプレキサやリスペリドンを最初に併用して、落ち着いてからこれらを減量

 

⑤シクレストは舌のしびれがあり、舌下も少し分かりにくく、初回は使う気にならない

=患者さんに不評が多い

→ 薬に対する不快感を生じると、以後の治療が大変

 

⑥セロクエルは、副作用が少ないが、陽性症状に弱いのであんまり

 

⑦ルーランは急性期の陽性症状には使い物にならない。慢性期なら・・

 

⑧難治性で再発多い人が、また急性増悪した時

→いろいろ非定型使ってもダメだった人が、セレネースなど定型薬が意外と効いて、救われる人も時にいる

 

⑨定型薬のコントミン、ゾテピン、レボトミンは鎮静的、鎮静・不眠対策に、2剤目として追加するのもあり

=特に糖尿病の人(セロクエルやジプレキサが使えない)

 

・どの程度の鎮静が必要か?興奮や緊張が強い人、眠れず疲弊している人

 (鎮静的でない薬は、眠剤やコントミンかセロクエル少量など加えて睡眠確保)

鎮静的な薬:ジプレキサ、セロクエル、シクレスト、コントミン、レボトミン、ゾテピン

鎮静が少ない薬:エビリファイ、ロナセン、レキサルティ、ルーラン、セレネース

中程度の鎮静:リスペリドン、インヴェガ

 

◎とにかく抗精神病薬を使いながら、急性期治療は積極的に

・陽性症状は急性期にガツンと叩いて鎮めないと、慢性化して後悔する

・一時的なメジャー大量や、多剤を要することも

 

 つづく