町田康様 | 紫雲和尚の爆書きによるラディカルイノベーション

紫雲和尚の爆書きによるラディカルイノベーション

1級FPであり、中小企業診断士でもある和尚が、えらっそうなことを申し上げるブログです。
クリステンセン教授が提唱したラディカルイノベーションをこのブログで起こしてみる所存です(2016年1月4日

本日2015年1月18日の日経文化面に、町田康(マチダコウ)さんが、寄稿を寄せていた(あ、頭痛が痛いとおなじだべ)
私の好きな作家は垣根涼介さんと公言しておるが、この町田さん、好きな作家と言うのはおそれ多く、畏怖、畏敬といってもよいような感情を持っている。新聞にはこういう風に紹介されている。

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まちだ・こう 作家。1962年大阪府生まれ。小説に「きれぎれ」(芥川賞)「宿屋めぐり」(野間文芸賞)など。詩も手掛け、パンク歌手、俳優でもある。
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基本的に、多能な人、例えば故人であるが中島らもさんとか、みうらじゅんさんとかそういうのはすげーなあと思うが、もしかしたらわたしゃも努力したらなれるかも、と期待する部分があるが、町田康さんだけは、努力でなれるような人間ではない。はじめて接したのはたしか「パンク侍、斬られて候」だったと思うが、この人の脳内はどうなっているのだろうか、と真剣考えた思いがある。今日の日経のエッセイも不穏当な表現も多々ありつつも、町田ワールドを醸し出している。

どういう風にすげえのか、お見せしたい。

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頭のなかに黒雲が湧いたようになっているのを我慢して俯き加減に坂道を上っていくと、前からいろんな人が降りてくる。脚絆をつけた桜色の頬の娘二人連れ。よちよち、小股でおりてくる。額に印が押してある。或いは威勢のよい、活動屋さんだろうか。腰に袋をぶら下げ、それ以外にもガムテープや針金といった様々のモノをぶら下げてすごい勢いで駆け降りてくる。頬に印が押してある。或いは合羽屋さん。悪漢さん。媼。婆ァ。煮売り屋さんなど、顔のどこかに印が押してあるいろいろな人が坂を下ってくるが、いずれも下ってくるものばかりで、上っていくものは自分だけ。ちょつと出てくるのが遅かったかな。と思った。
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「宿屋めぐり」の出だしですが、どうでしょうか。いったい何時代の話か?脚絆をつけているんだから江戸くらいか、いやガムテープもあるから現代か?また合羽屋さんとか、悪漢とかを並列して体言止めするのは反則。で印ってどんな印が押してあるんだろうか。なんて考え出すと、止まらない。
この人、擬態語などの「オノマトペ」の多用が特徴的で、上記でもよちよち、本日のエッセイでもアタフタ、ズンズンというのが見つかった。

この世界観がどうしょうもなく、脳内に直接訴えかけてくるのが、すごいと思う。
フィクション オブ フィクションって感じで、フィクションの中に現実的な場面があまり出てこない、そう夢の中のお話、って感じで。

小説界の岡本太郎、きっとそうなんだろう。