ダーリンちゃんと私③
「結婚」という一見おめでたい事実は、確かに私のいた不安定な場所から私を逃れさせてくれた。
しかし、そこはゴールではなかった。
今にも切れそうだった綱の上から、隣の少し丈夫な綱に乗り移っただけだった。
得体のしれない大きな黒い塊のような「不安」が私を包み込む。
結婚当初から、いや、結婚する数カ月も前から、私はダーリンちゃんを愛する自信を失っていたし、愛される自信もなかった。
結婚をして、結婚生活を送る。
そんな当然のことが不可能であることを、私は少しも疑わなかった。
ことあるごとに私は「りこんする」と言葉に出して言った。
そのたびにダーリンちゃんは「なんでそんなこと言うんだよ!」と怒った。
ことあるごとに私は「しぬ」と包丁を持ち出して言った。
そのたびにダーリンちゃんは「なんでそんなことするんだよ!」と泣いた。
正体不明ゆえに解決しえないまま、「不安」は私の心をむしばみ続けていった。
つづく
