9月13日(木)、岡山11時05分発特急やくも9号出雲市行き1号車グリーン車指定席に乗車しました。JR西日本米子支社後藤総合車両所所属381系ゆったりやくもパノラマ編成6両による運行です。


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1号車は4割程度の乗車率でした。グリーン車は2+1列の座席配置です。パノラマ席は運転席がガラス張りになっており、前面眺望を楽しむことができます。


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岡山から2時間余りで米子に着きます。


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当駅で、13時30分発境線境港行きに乗り換えます。目玉のオヤジ列車でした。境線はゲゲゲの鬼太郎の原作者水木しげる氏のふるさとが境港であることにちなみ、駅に妖怪の愛称名を付け、ゲゲゲの鬼太郎のラッピング列車を走らせています。米子駅0番線も妖怪仕様になっております。同駅の愛称は、「ねずみ男駅」です。


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富士見町駅で下車し、米子の新しい繁華街である米子しんまちにある漫画喫茶に向かいました。同駅の愛称は「ざしきわらし駅」です。


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その後、バスで米子駅まで移動し、駅前の米子ユニバーサルホテルにチェックインします。


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少し休憩した後、米子駅に移動し、17時21分発特急やくも17号出雲市行きに乗車します。381系ゆったりやくも非パノラマ編成6両(座席定員328人)です。


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普通車自由席は5号車と6号車です。自由席の座席定員は118人です。米子で多くの下車があり、5号車と6号車を合わせて13人が着席していました。


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松江では、5号車と6号車には合わせて9人が乗車しました。他の号車の乗車はありませんでした。しかし、次の17時52分発普通出雲市行きを待つ100人くらいの人たちがやくも17号を見送っていました。


松江出発時点で全ての号車を視察したところ、全体で39人が着席していました。乗車率は11.9%です。


松江を出ると、右手に宍道湖を眺めながら進みます。美しい夕日が宍道湖に浮かび、とても幻想的な車窓が展開します。


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玉造温泉では乗降がありませんでした。宍道で5人が下車しました。


そして、出雲市3番線には18時13分の定刻より5分程度遅れて到着しました。


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一旦改札を出て、改めて、1番線18時19分発普通米子行きに乗車しました。キハ47系2両編成でした。出雲市出発時点で77人の乗車がありました。約10分遅れで出発しました。


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松江までの乗降の状況ですが、荘原で20人の下車、宍道で4人下車・2人乗車、玉造温泉5人下車・1人乗車、乃木4人下車・12人乗車、でした。


松江では1番線に着きました。20人が下車し、入れ替わりに96人が乗車しました。当駅で同じホームの2番線から出発する、出雲市18時35分発特急やくも30号の待ち合わせをします。やくも17号が先に松江を出発しましたが、ガラガラの状況で走り出していきました。


私は引き続き普通米子行きに乗ります。乗降の状況は、揖屋20人下車、荒島31人下車、安来40人下車・2人乗車、でした。


そして、米子に19時44分定刻よりも10分以上遅れて到着しました。


やくも17号と折り返しの山陰本線普通列車に乗車して分かったことは、特急は空気輸送に近い状況であったのとは対照的に、普通列車はかなり混雑していたことです。


やくも17号は松江でも10人に満たない乗車しかなかったのに対して、普通列車を待つ乗客は100人もいたことが分かりました。


松江市は、2010年10月1日~29日の平日に、「JR交通社会実験」を実施しました。朝7時台に、特急・通勤快速が宍道駅・玉造温泉駅へ臨時停車し、両駅の改札口付近で係員が松江駅までの無料特急券を配布しましたhttp://www1.city.matsue.shimane.jp/matidukuri/koututomatidukuri/kotumachi/kotsujikken/kotsujikken.html


翌日14日(金)に松江市役所都市計画部都市計画課計画係で、「JR交通社会実験」について聞き取り調査をしたところ、実験によって一定の成果はあったものの、財源には限りがあり、今後はこのような補助金の形をとった交通社会実験を実施する考えはなく、広告宣伝で公共交通の利用促進を訴える施策に切り替えるとのことでした。


「松江市一斉ノーマイカーウィーク[ H22.10.18(月)~24(日)] の実施結果について」3頁では、宍道駅・玉造温泉駅の朝の通勤時間帯のJR利用者数が約30%増加する効果があったとの結果が報告されていますwww.city.matsue.shimane.jp/jumin/koutsu/.../jittakekka.pdf


山陰本線は列車本数が朝でも列車本数はそれほど多くはなく、松江駅に朝7時から9時までの間に到着する普通列車は、宍道からは5本しかありません。これに特急を加えると、8本にまで増えます。


朝および夕方ラッシュ時間帯には多くの需要があります。特急料金を無料にすれば、30%もJR山陰本線利用者が増加することが実証されています。


松江-出雲市間、松江-米子間の特急料金は割高なA特急料金が適用され、自由席でも730円です。松江-宍道間はわずか17kmですが、特急自由席を利用する場合には730円もかかります。


しかしJR四国では、25kmまでの自由席特急料金を310円としています。山陰本線でも25kmまでの自由席特急料金を300円程度とすれば、現在よりも特急利用者が増える可能性は高いと思われます。


松江から玉造温泉や宍道までの短距離利用に730円もの追加料金を支払うことは事実上困難ですが、300円だったら払ってもよいと考える人は一定数いるように思えます。ダイヤ上課題が多いのかもしれませんが、通勤・通学利用者の多い時間帯における、荘原、揖屋、荒島の特急停車も検討課題ではないでしょうか。


また、島根県総務部総務事務センター給与管理グループで翌日14日(金)に聞き取り調査を実施したところ、島根県庁ではJR特急を利用して通勤している県職員はごくわずかであることも判明しました。一方隣県の鳥取県では、県職員が積極的にJR特急を利用して通勤しており、JR特急の利用促進に大きく貢献しています。


島根県職員の通勤手当は、出勤地より2km以上の距離の通勤者に対して原則月55,000円を上限として(同第12条の10(1))、運賃相当額の全額が支給されます(同第12条の8)。


そして、島根県庁では、特急料金の支給について、「特別急行列車等の利用により通勤時間が30分以上短縮されること又はその利用により得られる通勤事情の改善がこれに相当すると人事委員会が認める」場合(島根県 職員の給与の支給に関する規則第12条の11の5)、特急料金の2分の1に相当する金額の支給が認められています(同第12条の11の6第3項)


以上のように、島根県職員の特急料金支給は普通列車利用と比べて30分以上の時間短縮効果がある場合に限られる上、実質片道分しか支給されないこともあって、ハードルが高いものとなっています。出雲市-松江の特急利用の短縮効果(快速との時間差)は12分、米子-松江の短縮効果は2分に過ぎず、特急料金支給対象範囲はかなり限定されます。


聞き取り調査の時点での島根県職員の特急料金支給対象者は9人とのことです(島根県総務部総務事務センター給与管理グループでの聞き取り調査より)。受給者の自宅は浜田や大田市等の遠隔地で、出雲市や宍道などの比較的短い距離をJRで通勤する県職員は普通列車を利用しているようです。


また、特急を往復利用している県職員は皆無で、片道だけの利用に留まっているそうです。やはり、特急料金支給上限額が2分の1であることが影響しているのでしょう。鳥取県も運賃相当額については全額支給ですが、特急料金については2分の1相当額の支給に留まっています(鳥取県 通勤手当の支給に関する規則第9条の7)。


そもそも、島根県では長距離通勤の慣習がほとんどなく、勤務先への通勤時間は30分以内であることが大半であり、異動等で遠距離通勤が必要になった場合でも、勤務地の近くに引越しをすることがほとんどとのことです。

しかし、県をはじめとする地方自治体、国の出先機関、そして企業等が特急通勤を積極的に奨励し特急料金の支給を強化すれば、自動車通勤が減って、鉄道へのモーダルシフトを促進することができるでしょう。また、単身赴任を解消して自宅通勤に切り替えることができれば、家族と過ごす時間が増える等を通じて、従業員のQOL(生活の質)を向上させることもできます。


通勤のための特急料金支給は、従業員に対する福利厚生の有力な手段になる可能性を秘めています。今では、有料特急列車は「ぜいたく品」ではなく、通勤に欠かせない交通手段となっています。島根県および鳥取県には、現状の特急料金の2分の1相当額の支給を全額支給に切り替えることをぜひとも検討していただきたいものです。


なお、鳥取県では、2012年8月7日現在で特急料金相当額の2分の1の金額を受給している県職員が116人にも及んでいます(鳥取県総務部行財政改革局人事企画課給与室での聞き取り調査より)。県が公共交通利用を積極的にリードしている様子が伺えます。


鳥取県の特急の通勤利用の実態につきましては、また近日お伝えする予定です。


【謝辞】本ブログ記事の執筆に当たっては、鳥取県総務部行財政改革局人事企画課給与室、松江市役所都市計画部都市計画課計画係、および島根県総務部総務事務センター給与管理グループにて聞き取り調査を実施しました(以上、調査実施順。いずれも、2012年9月14日(金)実施)。ご多忙の中、調査に応じて下さったことに対して、厚く御礼申し上げます。