俺、九十九真(ツクモマコト)が古今東西のゲーム蒐集家としても有名な某銀行の元頭取・京間栄介の訃報を聞いた。享年82歳。老衰による安らかな最後だったというし、俺自身には特にそういった経済界の世情に意見することもないのだが、意外なことに俺の叔母は彼の重鎮の他界に胸を痛めたようだった。
話を聞くに、叔母が若かりし頃、京間栄介の別宅の一つで給仕勤めをしていたのだという。
「普段は寡黙でちょっと気難しい感じの方なのに、ご趣味のゲームコレクションを眺めていらっしゃる時はとても無邪気で可愛い人だったわ。最後にお会いしたのはもう30年以上も前だけれどね」
話の中で何かを思い出したらしい叔母は、2階に上がっていくとしばらくして小さな箱を持って居間へ戻ってきた。俺の前に置かれた小箱には「京間栄介の生きた半世紀を振り返る会」の文字が金刺繍で施されている。ただの贈呈品にしてはやたらに豪奢な作りだ。
叔母が箱を開けると、中からは幾つかの記念品と、……カルタ。
「んー?なんでだろう。見覚えがある気がするんだけど」
「んふふ、小学校に入る前くらいに一緒に遊んだことがあるのよ。マコトくんの記憶の良さは変わらないわね。でも、今日見せたくなったのはこっちの方なのよ?」
カルタの箱を取り出すと、フタだけを俺に手渡す叔母さん。
くるりと手首を返す叔母さんの仕草にならって、フタを返すと、
「……えっ、これってひょっとして」
「これはね、旦那様からの"暗号"」
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