晴れた春の夕方

煉瓦づくりの洋館に、音楽家を訪ねた




何回かとけて表面が白くなった

風味のないブラックチョコレート

みたいになった、

ノクターンを何とかするために…

(もしもなるならば)



気だるい美しさと

霧の晴れないような旋律に惹かれて


譜読み楽そう

取り掛かってみたら



あれ?



…あれ?



なんで?



だった





ノクターンは…

人生の夜なのだと、私は思っています

指が早く動かせたら弾けるっていう

スポーツピアノみたいな部類の曲じゃなくて、

これは

作曲家との対話をするような

曲だと思うんですね



なのでまず、

ぶつぶつときらずに

ここまで、一呼吸でいくような感じで

歌い切ってください


レガートで



彼(ショパン)は

これ(op.72-1)をどんな時に

どんな精神状態で

かいたんでしょうか


もう

半分どこかいっちゃってますよね


どこにいるかわからない

みたいな状態で書いてるんじゃないかな



こんな

和音ですものね



これは

ふわ〜んとしていい

フランス系の曲なんです

なので

もっと

濁っていていいんです


なので、ペダルをそんなにふみかえなくて

よくて、、、

えー

こことここは踏み換えないで

ください


最初も踏んでから

弾き始めてもいいくらいです




妖精みたいな音楽家の口からは


大切なことが


すごく静かにあふれてくる


その静かさに反比例して


ひとつひとつの


密度も温度もすごく高くて、



聞いていたら

やけどしたみたいにじんじんした


わたしはもう

半ばついていかれずに


言葉だけ聞いたことがあるところ

だけ拾って返事をした



…はい

あの実は私は、レガートがまだ

よくわからなくて

どうしたらいいのか…


ここまで、

音が一定になり、おちないように…

弾くんですよね?


えっと、音が消えないように

もう少し強く弾くといいでしょうか?




強く弾くとですね…

そのあと、ガクッと音量がおちてしまうので

山が、谷が、できてしまうんです



強くひくのではなくて、

鍵盤の

この1センチを、

どういうスピードでおろしたらいいか

ということなんですよ




ピアノはバイオリンみたいに

一回鍵盤を下ろしてしまえば、その後の

音量を自在に調整できないので

でも

どうしたら広がっていくように

音量が増すように

…そう聞こえていくか


という


意識をして

鍵盤をおろすんですね



こういう音が少ない曲…というのは


なにもかも


表現するのは難しいと思います




字画の少ない字のバランスとるのが

大変なのと一緒かな…

ぼんやりと

書道の先生の柔らかな声を思い出した



たまに

書道の先生と

音楽家の教えは重なったり

同じ色にみえたりするのだけど


今回も、然り




レガートって

テクニックというより、

ここまで一息にいくぞっていう

気持ちみたいな感じなんですかね?




そうです




まさかの答えに


自分で聞いといて


えー!!!!そうなんだ!!!

と…驚いてしまった





レガートについて


書ききれていないけれど

すごく専門的で深い話を

素人でへたくそなわたしに

諦めないで

丁寧に指導してくださる音楽家の


人として

プロとして

その在り方に清潔感を感じる


熱い音楽への姿勢に

浅はかさを焼かれて

帰路につく



a curved line spanning notes 

that are to be played legato