濃くて、苦いコーヒーを入れたら


先生が

アイスコーヒーにしてほしいと言った



コーヒーを冷まして

カラカラと氷を入れていたら、

思い出した人がいる




いつだったか

駅のコーヒーショップで

隣の席に座っていた女性二人組が

誰かに怒っていた


本当に失礼よー

負け犬とか言ってさぁ…

負け犬って何よ?


だいたい

負け犬ってどんな犬よ〜

そんな犬、どこにいるのよ〜



それを聞いた友人が、おもむろに言った



はい!それ、あたし!

ここにいるよ

これが負け犬だよっ!



自分をゆびさして 

氷をカラカラ言わせて

アイスカフェ・オ・レを一気飲みした

それから、悪戯っぽく笑った



私はギョッとして

指を口に当てた


シーッッ!!

ちょっと、何言ってんの!!



当時は思った

こんなに美人に生まれて

男女問わず、人気者で

思うように生きているのに

何に負けているのよ




彼女は、


いつもの調子でふざけたのかもしれないし

当時の彼女の状況を心配していた

私に気を遣わせないようにそんな事を

言ったのかもしれない




かつては

毎日

毎日

夜遅くまで話をしたし

いつも一緒にいた


世界は話すことで溢れていたし

驚きや発見が、毎日あって

知らないことも

知りたいことも山ほどあった



そんな日々を過ごした友人




どうか

元気で暮らしていますように



そっと目を閉じて思う