足指を広げることは脚(あし)を真っすぐにすることにつながりますが、既存のリハビリには導入されていません。股関節も脚の一部ですから、踵骨と膝のアライメントが真っすぐになってはじめて変形した股関節が元に戻るのです。
最近ではリハビリテーション特化型の整形外科が増えてきましたね。高齢者ばかりが行列をなして受付で待っているのに驚かされます。
|リハビリを行うことで悪化する人もいる
既存のリハビリテーションでは変形性膝関節症も変形性股関節症もリハビリテーションの効果はないことが、17年前の私自身での研究でも明らかでした。海外でも同じような論文が出されています。
オーストラリア・メルボルン大学のKim L. Bennell氏らの研究により、痛みを伴う変形性股関節症成人患者への理学療法(リハビリテーション)は、痛みや機能性の改善には結びつかないことが示されています。
また少人数ではあるがリハビリとの因果関係が否定されないリハビリテーションの実施により生じた有害な反応が高かったとされています。大学側は「同患者に対するリハビリテーションプログラムの有益性について疑問を呈する結果となった」としています。
変形性股関節症に対して診療ガイドラインでは、薬物治療ではなく理学療法を用いる保存治療が推奨されています。しかしリハビリテーションは、コストがかかることに加えて有効性のエビデンスがそれほど確立されていません。
|介入と評価方法
診療所9ヶ所にいる8人の理学療法士(5年以上の臨床経験と大学院資格)が参加。変形性股関節症患者への痛みと身体機能に関する理学療法の有効性を評価する無作為化プラセボ対照試験(参加者、評価者ともに盲検化)は、股関節に痛み(100mm視覚アナログスケールで40mm超)を有し、またX線画像診断で股関節の変形が確認された102例の地域住民ボランティアが参加して行われました。
ちょっと雑談ですが、オーストラリアですから日本とは違って高度な教育を受けたプロフェッショナルな理学療法士です。開業権があるため、診断も行い、処方もします。オーストラリアでは、患者さんがDr.を通さずに、直接PTの評価を受け、治療を受けることが可能なんです。(ダイレクト・アクセスと言います)加えて、PTは一部の薬も処方でき、処方箋を自らつくることもできるんです。ということは、責任重大ですよね。年収で言えば500〜1000万円程度ですが、日本と比べるとかなりの差があることがわかると思います。
|理学療法を学べる主なオーストラリアの大学
シドニー大学(QS世界大学ランキング:46位)、モナッシュ大学、ジェームスクック大学、クイーンズランド大学、ラトローブ大学、セントラルクイーンズランド大学、南オーストラリア大学、オーストラリアンカソリック大学、カーティン大学、ニューカッスル大学、キャンベラ大学、チャールズスタート大学など専門学校などはありません。ただし国家試験はなく、卒業と同時に理学療法士の免許が与えられるシステムであり、それほど入学・卒業は難易度が高いと評判です。

2010年5月~2013年2月に、49例が12週間の介入を受けその後24週間の追跡を受けた。53例は同様にシャム(プラセボ)介入を受けた。被験者は、12週間にわたって10の治療セッションに参加した。介入群には、教育、アドバイス、徒手的理学療法、自宅療法、該当者には歩行補助杖利用などが行われ、シャム群には非活動的な超音波療法とゲル薬の塗布が行われた。能動的介入は、評価の結果に応じて、手動治療法(股関節推力操作、腰腰椎可動化、ディープティシューマッサージ、筋肉ストレッチ)、4〜6回の自宅でのエクササイズ(週4回、股関節外転筋および大腿四頭筋の強化を含む)運動、機能的バランスおよび歩行訓練)、教育および助言、ならびに適切であれば杖の提供です。6ヵ月の追跡調査の間、参加者は理学療法士なしの家庭での運動を週に3回行うように指示されました。
偽の介入群は、週3回のゲル薬の自己塗布が行われていた。理学療法士によって股関節領域に軽く不活性超音波および不活性ゲルを含んでいた。このグループは運動指導も手動療法も受けなかった。6ヶ月間の追跡調査の間、参加者は週に3回、5分間、静かにゲルを塗るように求められました。つまりリハビリっぽい偽の超音波治療を受けていたことになり、ほとんど何もしていないことを示しています。

主要アウトカムは、13週時点の平均疼痛度(0mmは痛みなし、100mmは最大級の痛みの可能性と定義し測定)、身体的機能(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index[WOMAC]で0[制限なし]~68[最大級の制限]と定義し測定)だった。副次アウトカムは、同36週時点の測定値、また13週および36週時点の身体的状態、全体的な変化、心理的状態、QOLについても評価した。これはVisual Analogue Scale (VAS) と言って、長さ10cmの黒い線(左端が「痛みなし」、右端が「想像できる最大の痛み」)を患者さんに見せて、現在の痛みがどの程度かを指し示す視覚的なスケールです。100mm=最大に痛い、0mmは全く痛くないと判断します。

|痛み・身体的機能改善に有意差みられず
13週時点の測定評価を完了したのは96例(94%)、36週時点については83例(81%)だった。統計学上6症例あればエビデンスとして成り立つ医学の世界なので十分な症例数だと思います。結果としては、両群間に痛みの改善について有意な差はみられなかった。介入群の視覚アナログスケールスコアの平均値(SD)は、ベースライン時58.8mm(13.3)、13週時点は40.1mm(24.6)だった。シャム群はそれぞれ58.0mm(11.6)、35.2mm(21.4)であり、平均差をみると、シャム群のほうが良好であった(6.9mm、95%信頼区間[CI]:-3.9~17.7)。つまりリハビリをしなかった人たちの方が痛みの改善が良好だったということになります。
身体的機能のスコアも、両群間で有意な差はみられなかった。介入群のWOMACスコア(SD)は、ベースライン時32.3(9.2)、13週時点27.5(12.9)であり、シャム群はそれぞれ32.4(8.4)、26.4(11.3)であり、平均差はシャム群のほうが良好であった(1.4、95%CI:-3.8から6.5)。これはリハビリをしなかった方が健康関連のQOLの回復が良好だったということになります。Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index(WOMAC)は変形性股関節症の健康関連QOLにおける疾患特異的尺度として用いられる。どのような評価項目かは下記の表を参照してください。

副次アウトカムについても、バランスステップについて13週時点の改善が介入群で大きかったことを除き、両群間で差はみられなかった。介入群46例のうち19例(41%)が、26件の軽度の有害事象を報告した。一方、シャム群は49例のうち7例(14%)が9件の同事象を報告した(p=0.003)。これは当然のことながら、リハビリをしなかった方がリハビリテーションの実施により生じた有害な反応は少なかったことを示しています。高度な教育を受けた日本とは段違いの理学療法士であっても、リハビリをしない方が変形性股関節症の方の回復は良好であったことが証明されたということです。
|リハビリの盲点は足指にある
私も同じような実験を23歳〜27歳まで行なっていました。理学療法士になって2年目に「リハビリをしなくても結果は同じなのでは?」と思ったからです。なぜならそこで働く理学療法士が受け持つ患者さんのカラダの状態が何年経っても変化がないことを知ったからです。病気だから仕方がない、高齢だから仕方がない、そんな空気が漂っていましたが、私はどんな状態の人でも歩けない人を歩けるようにすることが高校生時代からの夢でしたから、まずは現実を知ることから始めたのです。
そして5年間の追跡調査の結果、リハビリをしてもしなくても結果は同じであり、むしろリハビリをしたの人の方が悪くなるという結果も出て、理学療法士の存在意義をなくし退職。妻との出会いにより「足指」という盲点が、既存のリハビリの限界を突破させてくれました。カラダの土台は「足」と言われていますが、その足を支えているのはまぎれもなく「足指」です。足指はバランスを取るために必要不可欠であり、小指を骨折すると分かりますがバランスよく経ったり歩いたりすることができなくなります。まさに「逆立ち理論」で手の機能と同じだったのです。
海外では1950年代からこのような論文が出されています。それでも理学療法という分野はなくなることはありません。私もそうだったのですが、患者様の「足元」を見ていなかったのです。海外であればなおさらですが、靴を脱ぐことも、靴下を脱ぐこともありません。日本でもリハビリの時に裸足になって行う人はほとんどいません。そこが盲点だったのです。上記の論文でも靴や靴下を脱いで足指へのアプローチを行えば驚くほどの結果になっていたはずです。今、理学療法士の真価が問われています。もっと追求して足・足指にたどり着き、理学療法士にしかできない結果の出るリハビリテーション分野を確立するべき時代だと思います。
この写真は妻のO脚です。小指を地面につけて1週間で改善したことをきっかけに、足指研究を始めました。今では足指矯正靴下「YOSHIRO SOCKS」と「ひろのば体操」に治療法を集約させています。Simple is bestですね。
YOSHIRO SOCKS+ひろのば体操でカラダをまっすぐに整えましょう。口呼吸や低位舌の方も、筋力ばかり鍛えるのではなく、アライメント評価を適切に取り入れてリハビリを行うと良いですね。
6月25日(火)NHK BSプレミアム 美と若さの新常識「足裏から美しさを取り戻せ!」に出演。
https://www4.nhk.or.jp/beautyscience/2/
・足からの姿勢と咬合セミナー2日間完結型
http://yoshiroyuasa.com/
・オンラインアカデミー
https://academy.hironoba.jp/


