まずはストーリーを開始すべし | 小説の書き方教えます

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今回は、冒頭書き出しの部分について解説いた

します。


該当する方は、この記事を参考にして、即座に改

めてくださいね。




原稿の一行目に何を書くべきか。


そう問われたなら、迷うことなくストーリーの開始と

答えてください。


アマチュア作家で数多い間違いは、なかなかストー

リーが始まらずに読者をイライラさせること。


とくに多いのは、主人公の現在置かれている状況

を説明する文章が延々と続き、いつストーリーが始

まるのか、といった冒頭ですね。


こういう書き方をする理由はよくわかります。


最初に克明な状況説明をしておかないと読者に

内容を理解してもらえないのではないか、と考える

からですよね。




しかし、それはとんでもない誤解なのです。


状況が複雑であればあるほど冒頭の解説文が長大

なものとなりますから、一度読んだだけですべてを覚

られる読者なんて存在しないのです。




では、どうやって読者へ状況を伝えるのかというと、

ストーリーが進行する中で、誰かとの会話文だとか

行動にて伝えるようにします。


たとえば、こんな感じです。


会社からの帰り道に自宅からほど近い八百屋さんへ

寄った。スーパー全盛期の時代なのに、昔懐かしい

雰囲気が漂っている。

「咲子ちゃん、会社の帰りなのかい?」

声を掛けてきたのは、八百屋の女将さんだった。

「咲子ちゃんも大変だね。まだ保育園の洋平ちゃんの

世話と会社勤めだなんて、、、。真治さんの事故が私

にとっても憎らしいよ」

「せめて、相手の運転手が交通事故の保険を掛けて

くれてたらよかったのですが」

「いくらも貰えなかったのかい?}

「ええ、かろうじて葬儀を出せただけでした」




詳細な描写は長くなるので省略しましたが、女将さん

と八百屋の店内描写を普通は加えます。


が、肝心なのはそこではなく、二人の会話から主人公

の置かれている状況がかなり詳しくわかる点です。


夫が交通事故で亡くなり、保険金がわずかであったこと。

保育園児の洋平という子供がいること。

母子家庭で、主人公が勤務に家事と育児をしていること。


これらの情報を解説文にしますと、多分覚えられません

し、主人公への感情移入にも至りません。


わずかでもストーリーを進めているからこそ、状況が

スムーズに読み取れて、主人公への感情移入もたや

すくなるのです。




これからは冒頭で解説文を長々と提示するのではなく、

始まったストーリーの中で自然に提示していきましょう。


先に解説しないと読者にはわからない、というのは作者

のとんでもない誤解なのです。