落とし穴を埋める | 小説の書き方教えます

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今回は、ストーリーの落とし穴についてです。




作者自身というのは、自分の作品の欠陥には気付きにくい

ものでして、他人から指摘を受けてようやくハッとなります。


文学賞への応募作品では、ほとんどの作者が誤字脱字や

変換ミスなどを血眼になって修正しようとしますが、よほど

多くない限り、それらのものは減点の対象とはなりません。




もっとも減点されるのは何かといいますと、作者の一方的

な思い込みによるストーリー展開なのです。


たとえば、


仲が良かった男女が、女性側の都合で結婚できなくなると

しましょう。悲しいバッドエンドを迎えます。


しかし、です。


男性の側が、結婚できるように手段を講じてみもしないで

アッサリと別れを受け入れるようでは、最初の読者である

選考委員から良い評価が得られるはずがありません。


本気で愛しているなら、地の底地の果てまでも一緒に行く

くらいの恋愛感が作者に欠けているのです。




社長令嬢に近付き、逆玉を狙っていた男性が、いつしか

本気で女性を好きになる。


だが、結婚を直前にして父親の会社が倒産し、幾多の連

帯保証人になっている娘から、結婚できなくなったと宣告

される。


男性が苦悩の果てに別れを呑み込むことにした場合、た

ぶん読者は納得しないでしょうね。


なぜなら、自己破産という手がありますし、逆玉狙いでは

なくなっているからなのです。




作者自身では気付かないストーリーの落とし穴は、結構

あるものです。


作者になった途端から読者であったことを忘れる作者は

本当によく落とし穴に落ちることでしょう。