友人が病気を抱えている。
次から次に病気になり、いまは引きこもって仕事をしていない。
夜を迎えると不安に襲われ、恐怖と一人戦う夜に疲れ、安らかな死を望んでいることを知っている。
生きたいとももちろん願っているのも知っている。
泣いて夜を過ごし、起きているときはテレビ見るか、LINEで愚痴をこぼして、あとは病院行っている。
人の話を聞かない。
自分の話を聞いてくれる人を見つけて同じ話を何年も延々に繰り返している。
そうなった本当の原因を彼女以外誰も知らないんじゃないか。
解決方法を提案しようとすると、感情的にイラつきだす。
「あんたは私の話を聞いてくれるだけでいいの」と言わんばかりに主張をする。
あっちの病院、こっちの病院と病院めぐりに忙しい。
LINEの中身は以前のものと全く異なる。
別人とやりとりをしているようだ。
本当のことは言わない、お互いに。
独身で自分より少し不幸な女を探している。
彼女がみとめた優しくて可哀そうな女に彼女の心は初めて開かれる。
野生の動物は、弱ったものは群れから取り残されてやがて死んでいく。
それが自然の摂理なら受け入れるしかないかもしれない。
本人がどうにかしようとしないと生き残ることはできないと半ばあきらめて見守っている。
彼女は心の旅の途中で、砂漠でオアシスを探している途中なのだと思うようにしている。
こっちだよと周囲の人が手招きするのを振り切って砂漠に飛び込んでしまっているようだ。
でも、私も人のことを批判的には言えない。
私も同じ穴のムジナなんだと思う。
だから彼女と友人を続けているのだと。