平成最後の大型連休ということで
ツアーの宿泊客が街に大勢来ていて
私のお店も今日は大忙しだった。
ついさっきまでお店の手伝いをさせられていて
今ようやく自分の部屋にもどれた。
ここなつのライブ以来、父さん達が音楽に興味を示している。
人を集めるのにバンド演奏が効果ある事を認めているようだ。
きっと、例の特産品イベントでも同じように効果を発揮するではと考えているのだろう。
国から「一級のお墨付き」をもらうのには、自分達のブースに多くの客を呼ばないとならないから
人をどうやって集めるか、伝統地区振興会の人達は毎晩躍起になって考えていたからな。
私の計画は、こうだ。
伝統地区振興会が今エントリーしようとしている
特産品の全国イベント『ふるさとグランプリ』に我々BBBも出場する。
地域の看板娘としてだ。
『ふるさとグランプリ』のルールではご当地看板娘が
エントリーの必須条件で、大きな審査対象となっているそうだ。
そこを我々BBBが利用する。
私達は全員お店の娘だ。全員看板娘とも言える。
そして看板娘のロックバンドなんて、他の地域では無い発想だろう。
上手くやれば、きっとここなつの時のように多くの人を呼べるだろう。
伝統地区振興会は自分達のブースに人だかりができ、特産品を多くの人に売れる。
私達は大勢のお客さんと審査員達の前でアバンギャルドな音楽を奏で
BBBの存在感を知らしめられる。
Win-Winだ。
特産品イベントとはいえ、全国規模。
国が支援しているだけあって、スポンサーも有名企業ばかりだ。
決勝戦は東京の大舞台で行う事になっている。
勿論、テレビや雑誌の取材も沢山くるだろう。
そこまで行けば、BBBは全国に知れ渡る。
『ふるさとグランプリ』を利用して
私達はこの小さな箱庭から、大きな空へ飛び立つ。
これが私のドラマチック脱出計画だ