キオクシアの心臓部、四日市工場と北上工場。

 

これら2工場は、ただの巨大な製造工場ではありません。

 

世界最高峰と言っても良いレベルの、最先端スマートファクトリーなのです。

 

今回はその凄さについて深掘りしていきます。

 

 

 

●AIとビッグデータによる24時間の品質管理

 

フラッシュメモリの製造プロセスは、期間にして数カ月に及び、その工程数は数百以上と言われています。

 

工程数が多いだけでなく、超高精度が求められる、超微細で究極的な世界。

 

わずかな塵、わずかな位置ずれ、わずかな温度変化が起こるだけで、大量の不良品が出てしまいます。

 

そのわずかな異変を検知するために、キオクシアはAIとビッグデータを活用しています。

 

 

●データの自動収集

 

工場内に設置された数千台規模の製造装置や、検査装置のセンサーから得られる、数十億件/日のデータを収集し、統合データベースに蓄積し続けています。

 

四日市工場のデータ+北上工場のデータ(合計数十億件規模/日)

 

→統合データベースに送信

 

→AIが得られたデータを詳細に分析

 

→AIが補正、改善を指示

 

→生産性の最適化を実現

 

それぞれの工場から、クラウド基盤の統合データベースにデータを集約する構造のため、四日市工場で得られたデータの分析結果を、北上工場へも即座に反映する事ができます。

 

データ集約による相乗効果が生まれ、1工場ずつ単体でデータ管理するよりも、はるかに高い生産性が得られます。

 

 

●AI深層学習による異常検知技術

 

「CNN(畳み込みニューラルネットワーク)や1D-CNNなどの技術」

 

製造装置等に組み込まれた、振動センサーや音響センサーからの波形データを画像データのように捉えてAIが分析。

 

人間の感覚では検知できない、ごく微小な波形データの異常をAIが読み取ります。

 

「時系列変化の予測技術」

 

「過去数時間〜数日間の温度・気圧・圧力の推移パターン」を学習し、将来の推移を予測します。

 

このパターンの気圧変化が起きた場合、過去のデータに照らして、平均して4時間後にエラーが出る。というような予測をAIが行います。

 

「オートエンコーダ技術」

 

蓄積したビッグデータの中から「正常な時のデータ」を取り出し、無駄な情報を排除して圧縮。「本質的な特徴データ」のみを抽出します。(エンコード)

 

抽出した「本質的な特徴データ」を元データに復元します。(デコード)

 

「正常な時のデータ」であれば、デコードを行った際に、元データとの差異が最小になりますが「異常な時のデータ」をエンコード、デコードした場合には元データとの差異が、正常な時と比べて大きくなります。

 

AIはこの差分を読み取って異常を検知します。

 

 

●異常検知後の補正技術

 

「製造装置の物理的補正技術」

 

製造装置内部には、モーターやアクチュエーター、電動バルブ等の物理駆動パーツが組み込まれおり、これらのパーツは製造装置内部のプロセッサを介して、AIサーバーとリンクしています。

 

異常の兆候を検知したAIは、製造装置側に制御信号を送信。

 

装置内のプロセッサがそれを受けて、物理駆動パーツをミクロン単位で精密に制御することで、リアルタイム異常補正を行っています。

 

「自動搬送ロボットのルート変更・走行制御」

 

特定の処理エリアで不具合の兆候があったり、メンテナンス等で処理が止まってしまう場合にもAIがそのエリアで発生する搬送渋滞を予め予測。

 

ウェハの搬送、投入を停止するだけでなく、当該処理エリアへ向かう、

 

AGV(自動搬送ロボット)

 

AMR(自律走行搬送ロボット)

 

OHT(天井走行搬送車)

 

を別ルートへ迂回誘導する指令を送信。

 

空いている別の処理ラインへ振り替えるなどして、生産性の最適化を実現しています。

 

 

キオクシア岩手株式会社(2017年設立)が運営する北上工場について。

※四日市工場はキオクシア株式会社が運営

 

 

●概要 

 

フラッシュメモリのさらなる需要拡大に対応するための製造拠点

 

AIを活用した最先端のスマートファクトリー

 

豊富な水資源と充実した交通網

 

岩手県北上市北工業団地5番29号

 

敷地面積(概算)356000㎡

 

クリーンルーム総面積は非公開

 

 

 

●特徴

 

クリーンルーム内の製品の移動と処理は、生産管理システムによる完全自動制御。

 

四日市工場で長い時間をかけて培ってきたデータやノウハウをベースに、

新設ファブならではのさらなる高度化が図られている。

 

 

●棟数

 

K1/K2の全2棟(Kは北上の頭文字)

 

K1棟:2019年に竣工。

鉄骨造5階建 建屋面積40000㎡

 

K2棟:2024年に竣工。

鉄骨造7階建 建屋面積31000㎡

 

 

 

●拡張計画

 

K2棟南側の土地約70000㎡を2021年~2022年頃に追加取得済み。

 

今後拡張計画が本格化した際には、この土地を使用する可能性。

 

 

●周辺環境

 

K1棟の南側にAmkorの拠点がある。

 

【Amkor Technology】

米国最大手のOSAT(半導体後工程受託企業)

 

シェア約15%(2024年/世界2位の規模)

 

北上工場で生産されたウェハの後工程を担当している可能性。

 

1992年の稼働開始から現在まで、キオクシアの主力工場としてフル稼働してる四日市工場について。

 

 

●概要 

 

世界最大級のフラッシュメモリ工場

 

AIを活用した最先端のスマートファクトリー

 

三重県四日市市山之一色町800番地

 

従業員数6788名(2026年3月31日時点)

 

敷地面積694000㎡

 

クリーンルーム総面積は非公開

 

 

 

●特徴

 

クリーンルーム内の製品の移動と処理は、生産管理システムによる完全自動制御。

 

数千台の検査装置等から生まれる30億件以上/日のデータを統合データベースに登録。

 

ビッグデータとして活用、分析することで生産性、歩留まりを向上させている。

 

人間では成し得ない膨大なデータの分析をAI/深層学習により実現。

 

不具合の発生原因を自動的に推定したり、不良の発生を事前に検知する。

 

 

●棟数  

 

Y1~Y7の全7棟(Yは四日市の頭文字)

 

Y1棟:1993年に竣工。

改装され、現在は主に研究・開発棟として稼働の可能性。

 

 

Y2棟:1996年に竣工。

一度建て替えられ、2016年に新Y2棟として稼働開始。

鉄骨造5階建 建屋面積27600㎡

 

 

Y3棟:2005年に竣工

鉄骨造5階建 建屋面積24300㎡ 延床面積113000㎡

 

 

Y4棟:2007年に竣工

鉄骨造5階建 建屋面積35500㎡ 延床面積181000㎡

クリーンルーム面積48800㎡

 

 

Y5棟:(第1期)2011年に竣工(第2期):2014年に竣工

鉄骨造5階建 建屋面積38000㎡ 延床面積187000㎡

 

 

Y6棟:2018年に竣工

Y6棟に隣接する形で開発センターも竣工。

 

 

Y7棟:2022年に竣工

鉄骨造7階建 建屋面積20000㎡

 

 

 

●周辺環境

 

Lam Research

 

東京エレクトロン

 

日立ハイテクなども四日市市内に拠点を持っている。

 

NAND(ナンド)フラッシュメモリーとは、一言でいうと
「電源を切ってもデータが消えない、大容量な記憶用半導体」のことです。


●NAND型フラッシュメモリの発明(1987年)


東芝の技術者だった舛岡富士雄氏らが、データを電源を切っても消えない「NAND型フラッシュメモリ」を発明。


これがキオクシアの全ての原点です。

 

現在は2004年に設立したUnisantis社で、DRAMに代わる、超高密度次世代メモリ

「Dynamic Flash Memory」(DFM)の研究等を行っておられます。


 


●NANDフラッシュメモリーの特徴1
「電源を切ってもデータが消えない(不揮発性)」


パソコンの「メモリ(DRAM)」は、電源を切るとデータが消えてしまいます。


一方でNANDフラッシュメモリーは、電荷蓄積層を絶縁体で囲って閉じ込める構造のため、

 

電気の供給がなくなっても写真や動画、アプリなどのデータを何年も保持し続けることができます。


●NANDフラッシュメモリーの特徴2
「大容量化が容易」


NANDとは、回路のつなぎ方(論理ゲートの一種である「NOT AND」)に由来しています。


回路を直列に繋ぐシンプルな構造にすることで、データを保存する部屋(セル)を狭いスペースにギッシリと詰め込めるようになり、

 

圧倒的な大容量化と低コスト化を実現しています。


●NANDフラッシュメモリーの特徴3
「書き換え回数には限界もある」


NANDの特徴として「不揮発性」を挙げましたが、半永久的にデータを保持し続けることが出来るわけではありません。


フラッシュメモリにも寿命があります。(書き換え回数の限界)


何度もデータの書き換えを繰り返すと、だんだんと絶縁体の囲いがダメージを受け、最終的には絶縁体の隙間から電子が漏れ出てしまうようになります。

 

SSDやSDカードに「保証書き換え回数」があるのはこのような理由からです。