前編では、車載AIモデルの高度化や自動運転、SDV(Software Defined Vehicle)の進化、普及によって、


車載ストレージの重要性が高まっている事についてご紹介しました。

 

では実際に、最先端の自動運転車には、どれほどのストレージが搭載されているのでしょうか。


公開されている分解レポートをもとに、検証してみたいと思います。

 


◆Teslaは「走るコンピュータ」を実現した企業


Teslaの特徴は、単に「EVを製造している」という事ではありません。


自動車そのものを、「走るコンピュータ」として扱い、設計している点にあります。


Teslaの自動運転システム

FSD(Full Self-Driving)は、

 

複数のカメラで周囲を撮影

→AIプロセッサが映像をリアルタイム解析

→車両や歩行者、標識などを認識

→最適な走行ルートを判断

→ステアリング、アクセル、ブレーキを制御

 

という処理を、短い時間の中で何度も繰り返しています。

Tesla FSD V13.2.8のアップデートのリリースノートを見ると、

36 Hz, full-resolution AI4 video inputs
(AI4※では36Hzのフル解像度映像入力)


という記述がありますので、
1秒間に36回、カメラの映像データが、AI4に入力されている事になります。


つまり、約0.0278秒間隔で入力が行われています。


FSDV14以降のアップデートのリリースノートには、フレームレートの記述が無いので、公式資料からは確認できませんが、


Tesla関係者の話によると、V14以降では、
フレームレートが48Hzへアップグレードされているようです。


つまり、約0.0208秒間隔で入力が行われます。

それにより、AIはより高い頻度で、周囲の状況を認識することができ、


その認識結果をもとにして、ステアリング、アクセル、ブレーキなどの車両制御を行っているのです。


人間で言えば、「目」で見た情報を「脳」で判断し、「手足」を動かす一連の動作を、FSDが代替して行っているイメージです。


※AI4は、第4世代目の自動運転コンピュータシステムで、HW4と表記されることもあります。(Hardware 4)

 


◆最新のTeslaでは1TB級ストレージを搭載


エレクトロニクス製品の、評価、分析を行っている「TechInsights」が、Tesla FSD HW3/HW4を分解したレポートでは、


HW3は、キオクシア製32GB UFSを2基、Micron製64GB NANDを1基搭載し、合計128GBのNANDフラッシュの搭載が確認されています。


対してHW4では、1TB級のNANDフラッシュの搭載が確認されています。


多少のずれはあるかもしれませんが、
HW3が2019年頃のモデルに搭載、HW4が2023年以降のモデルに搭載されている事から、


わずか4年程度で、FSDコンピュータに搭載されるストレージ容量は、8倍以上に拡大したことになります。


これは、AIモデルの高度化や、OTAによる継続的なソフトウェア更新など、保存すべきデータ量の増加が、反映された結果だと考えられます。

 


◆キオクシアにも追い風となる可能性


データセンター向け製品と比較すると、注目度が低く、あまり取り上げられていませんが、キオクシアも車載向けUFS製品として

 

・64GB
・128GB
・256GB
・512GB
・1TB

 

のラインアップを展開しています。
(2026年7月時点)


次世代SDVや、ADAS(先進運転支援システム)向けの、UFS4.0/4.1規格に準拠する製品を、2025年7月31日にサンプル出荷したとの発表が行われており、


順調にいけば、そろそろTear1での評価、設計が終わって、量産準備が進んでいる可能性があり、今後の新型車への搭載が期待されるところです。

 

● 車載用UFSの主な特徴

・車載グレードのフラッシュ製品によるシステムとストレージの高信頼性

・地図、ビデオ、イベント記録用大容量ストレージ

・多様なアプリケーションに対応する幅広い容量ラインアップ

・温度範囲:-40°C~+105°C(AEC-Q100グレード2)に対応

・UFS4.1製品は、第8世代BiCS FLASH技術を採用

 

車載用UFS | KIOXIA - Japan (日本語)キオクシアは次世代のインフォテインメントと先進運転支援システム(Advanced Driver Assistance Sywww.kioxia.com


◆日本メーカーの「SDV」はどうなの?


Teslaは現在のSDVを象徴する存在ですが、日本の自動車メーカーも、同じ方向へ歩みを進めています。


トヨタグループでは、Woven by Toyotaが開発するソフトウェアプラットフォーム「Arene」を軸に、ソフトウェアによって継続的に機能を進化させるSDVの実現を目指しています。


Areneは、OTAによるソフトウェア更新やAIを活用した運転支援、クラウドとの連携などを支える、基盤プラットフォームとなるもので、


自動車を
「購入した時が完成形」
と捉えるのではなく、
「1人ひとりのニーズに合わせ、購入後も進化する存在」


へと変えていくことを目指しています。


トヨタやレクサスの次世代SDVに、どれくらいの容量のストレージが搭載される予定なのか、現時点では情報は見つかりませんが、


Tesla車で既に、1TB級のストレージが採用されていることを考えれば、トヨタやレクサス等、日本メーカーのSDVでも近い将来、


TB級の大容量ストレージ需要が拡大する可能性は高いのではないでしょうか。

 


◆検証の結果・まとめ


Tesla FSD HW4の搭載車では、やはり1TB級のストレージが搭載されている事が分かりました。


また、HW3からHW4へと移行するわずか4年ほどの間に、ストレージ容量は8倍以上にもなっていた、という事実も確認する事ができました。


今回の検証を通じて、SDVの進化が私たちの想像以上のスピードで進んでいる事を、改めて認識した次第です。


今回はTesla車について、検証を行いましたが、2027年以降、日本メーカー各社のSDVが本格的に普及していく中、


国内の車載ストレージ市場も、ますます拡大していく事が予想されます。


トヨタの「Arene」、ホンダの「ASIMO OS」などが、先頭を走るTeslaのFSDシステムにどこまで迫れるのか。

その時、各社が自動車1台で扱うデータの総量、ストレージ容量は、現在の1TBクラスから、今後どこまで増えていくのか。


そのような視点で、今後のキオクシアのUFS製品ラインナップに注目していくと、データセンターだけではない、


また新たな魅力、成長の可能性が見えてくるのではないでしょうか。
 



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(投稿日2026年9月11日)
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自動運転ソフトウェアを手掛けるティアフォーの上場をきっかけに、日本でも再び、自動運転関連企業への注目が高まっています。

 

自動運転と聞くと、多くの人が思い浮かべるのは、

・AI技術
・LiDARなどのセンサー
・3Dマップ


などでしょう。


しかし、自動運転を支える技術はそれだけではありません。

 

車両が周囲の状況を認識し、安全な走行を続けるためには、膨大なデータを高速、かつ確実に保存する「ストレージ」が欠かせません。

 

今回は、自動運転社会の到来が、NANDフラッシュメモリの主要サプライヤーであるキオクシアに、

 

どのような影響を与えるのかについて、考えてみたいと思います。

 


◆自動運転車は「走るコンピュータ」


10年前の自動車は、エンジンやブレーキを制御する電子制御ユニット(ECU)が中心であり、

 

搭載されるフラッシュメモリも、主に制御ソフトウェアや、カーナビの地図データを保存するために使われていました。

 

しかし、最新の自動運転車では大きく様変わりしています。

・周囲の道路状況の認識
・標識の認識
・レーンキープや前車追従
・障害物の回避


これらを実現するために、複数のカメラ、LiDARやミリ波レーダー、高精度マップ、GPSなど、数多くのセンサーが搭載され、

 

それらのセンサーから出力された情報を、自動運転に特化したAIモデルが、リアルタイムで解析しています。

 

まさに「走るコンピュータ」と言うべき存在へ、進化しつつあるのです。

 


◆NANDフラッシュが保存するものとは?


NANDフラッシュには、ソフトウェアや車載AIモデルなど、様々な重要データが長期間保存されます。

 

例えば、

・OTAで更新されるソフトウェア
・AIモデル
・高精度マップ
・システムログ
・故障診断データ
・急ブレーキなどのイベント記録


などが保存されます。

 

自動運転車では、カメラやLiDARなどからTB規模/日のセンサーデータが生成される事もあり、

 

その全てを無線通信でクラウドへ送る事は現実的ではありません。

 

そのため、車内で価値の高いデータを選別し、NANDへ保存した後、必要なものだけをクラウドへ送信する仕組みが採用されています。

 


◆SDVがストレージ需要を押し上げる


自動車業界では現在


「Software Defined Vehicle(SDV)」※


への転換が急速に進んでいます。

 

※SDVとは、無線通信を使ったソフトウェア更新によって、購入後も機能を進化させる事が可能な、次世代の自動車のこと。

SDVの世界における自動車の価値は、エンジンやトランスミッション等、ハードウェアの性能だけでなく、ソフトウェアによっても左右されます。

 

車載AIモデルは継続的に更新されて進化し、新しい運転支援機能なども、OTAによって追加され続けます。

 

つまり、SDVの進化と共に、自動車に搭載されるストレージ容量もまた、着実に増え続けていくのです。

 

10年前の一般的な乗用車では、数GB〜十数GB程度だったフラッシュメモリは、現在のSDVでは数百GB~1TB規模となっています。

 

車載AIモデルの高度化や、SDVの進化が続けば、将来的には数十TB級のストレージを搭載する車両が登場する可能性もあるでしょう。

 

現在、急速に発展しているSDVの普及は、NANDフラッシュメーカーにとっても大きな成長機会になり得るという事です。

 


◆キオクシアに期待される役割

キオクシアは、世界有数のNANDフラッシュメーカーとして、これまでスマートフォンやデータセンター向け製品を主力としてきました。

 

しかし今後は、車載ストレージ市場も、重要な市場となっていく可能性が高いと考えられます。

 

車載向けストレージには、

・高温・低温環境での動作
・長期間のデータ保持
・高頻度の書き換え耐久性
・高速な読み書き性能


など、スマートフォンやデータセンター向けの製品以上に、厳しい仕様要求が課されます。

 

そのため、長年にわたって様々な技術資産を蓄積してきた、キオクシアのような企業は、今後一段とその重要性が増していくでしょう。

ティアフォーの上場によって、自動運転関連企業への市場の関心は、さらなる高まりを見せています。

 

自動車が「走るコンピュータ」として進化を遂げるほど、搭載されるNANDフラッシュもまた、それに応じた進化を続けていくのです。

 

自動運転関連企業を調べる時、
是非その「記憶」を支えるNANDフラッシュメーカーにも、目を向けてみてはいかがでしょうか。
 



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(投稿日2026年8月27日)
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キオクシアホールディングス(285A)が
2026年7月31日に、
2027年3月期第1四半期決算を発表しました。

 

今回の決算を一言で言い表すなら、
まさに【異次元の好決算】です。

 

前年同期比において、

 

・売上は5倍超
・営業利益は約28.3倍
・税引き前利益は約45.2倍

・純利益は約46倍

 

という驚異的な伸びを記録しました。
さらに同日には、

 

・最大8,000億円の自己株式取得
・1株→3株の株式分割

 

も発表されました。
業績面、株主還元、流動性確保の全てを押さえた、非常に強い決算内容となっています。

 

 

前年同期の数字を横に並べて比較すると、改めてすごい伸びだな、と実感させられます。

 


◆AIデータセンター向けSSD需要が大爆発


会社側は、業績改善の要因として、

 

・AIデータセンター向けSSD需要の拡大
・平均販売単価の大幅上昇
・出荷量(記憶容量ベース)の増加
・円安効果

 

などを挙げています。
特に、AIデータセンター向けSSD需要の拡大には、目を見張るものがあります。

 

●SSD・ストレージ
2,174億 → 1兆1,747億円
(9,573億円の伸び)


●スマートデバイスも好調
790億 → 5,257億円
(4,467億円の伸び)

 

SSD・ストレージ部門が、
売上全体の約3分の2を占めており、


AIデータセンター向けのストレージ需要が、利益全体を押し上げている事が分かります。

 


◆営業利益率、驚異の約72%


●売り上げ
1兆7,671億円に対し、

●営業利益
1兆2,700億円

営業利益率は「驚異の約72%」です。


売り上げの増加が、利益に大きく結び付く収益構造となっています。


恐ろしい利益率です。

 


◆財務体質も一気に改善


自己資本は
1兆3,989億円 → 2兆4,043億円
へ増加しています。

 

自己資本比率も
37.9% → 50.8%
まで改善しました。

 

営業キャッシュフローも
611億円 → 8,663億円
へ急増しており、稼ぐ力が数字として表れています。

 


◆最大8,000億円の自社株買いも発表


発表された自社株取得枠は、

 

・最大3,000万株
・発行済株式の約5.5%
・総額8,000億円
・取得期間は8月3日~10月30日

 

という、非常に大規模な設定です。

 

会社側は自社株買いについて、

「資本効率の向上と、株主還元の充実を目的とする。」

と説明しています。

6月中旬から7月下旬にかけて、ベインキャピタルの売却をきっかけとした、調整局面に入っていましたので、

 

自社株買いにはうってつけのタイミングだと、判断したものと考えられます。

 


◆株式分割でさらなる流動性確保


決算発表と同時に、
1株から3株への、株式分割も発表されています。

 

分割の効力発生日は、
2026年10月1日です。

 

会社側は、

「投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図るため。」

と説明しています。

10分割など、極端な大量分割は避けてほしかったので、今回3分割という事で、個人的には非常に好感しています。

 


◆第2四半期はさらに増収増益を予想


第2四半期についても、

 

・売上2兆3,900億円
・営業利益1兆8,900億円
・純利益1兆2,700億円

 

と、すごい伸びを見せた第1四半期を、さらに上回る見通しを出してきました。

会社側は、
「AIデータセンター向け需要が引き続き旺盛。」
との見通しを持っているようです。

 

第2四半期に向けて、非常に期待の持てる発表で、頼もしい限りです。

 


◆訴訟関係費用も1Qで引き当て済み


アメリカ衛星通信の大手、「Viasat社」から提起されていた、メモリ半導体技術の特許侵害訴訟の評決が、2026年7月16日に出されました。

 

内容としては、特許侵害があった事を認めて、キオクシア側に対し、
約2億2,900万ドル(約370億円)の賠償を命じる評決を下しました。

 

この賠償金相当額の「366億円」が、今回の第1四半期決算に、
「訴訟損失引当金繰入額」として計上されています。

 

もし、この訴訟絡みの引当金が無ければ、
営業利益は「1兆3,000億円」を超えていた事になります。

 


◆FY2026 1Q決算 総括


今回のFY2026 第1四半期決算は、「好決算」という言葉ではとても言い表せないほどの、素晴らしい内容でした。

 

売上高約5倍、営業利益は約28.3倍、純利益は約46倍

へと業績は急拡大し、AIデータセンター向けストレージ需要の異次元の強さが、数字にはっきりと表れています。

 

自社株買い、株式分割も併せて発表され、
成長戦略だけでなく、株主還元や流動性を意識した経営陣の姿勢も、決算から見えてきました。

手元の現金も潤沢になってきていますので、配当施策など、今後さらなる株主還元の可能性も、十分に期待できると思います。

 

第2四半期に向けて今後は、AIデータセンター向けのストレージ需要の持続性、NAND価格の動向、さらなる成長分野への投資、などが焦点になっていきます。

 

少なくとも今回の第1四半期は、キオクシアが新たな成長ステージに向けて、

さらなる飛躍の第一歩を踏み出した事を、強く印象づける決算内容だったのではないでしょうか。
 



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(投稿日2026年8月24日)
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キオクシアの心臓部、四日市工場と北上工場。これら2工場は、ただの巨大な製造工場ではありません。

 

「世界最高峰」と言っても良いレベルの、
「最先端スマートファクトリー」なのです。
今回はその凄さについて、深掘りしていきたいと思います。

 

 


◆AIとビッグデータによる24時間の品質管理


フラッシュメモリの製造プロセスは、期間にして数カ月に及び、その工程数は数百以上と言われています。

 

工程数が多いだけでなく、超高精度が求められる、超微細で究極的な世界。

 

わずかな塵、わずかな位置ずれ、わずかな温度変化が起こるだけで、大量の不良品が出てしまいます。

 

そのわずかな異変を検知するために、キオクシアはAIとビッグデータを活用しています。

 


◆データの自動収集


工場内に設置された数千台規模の製造装置や、検査装置のセンサーから得られる、

 

数十億件/日のデータを収集し、統合データベースに蓄積し続けています。

 

四日市工場のデータ+北上工場のデータ
(合計数十億件規模/日)


→統合データベースに送信

→AIが得られたデータを詳細に分析

→AIが異常を検知し、制御信号を送信

→生産性の最適化を実現

 

それぞれの工場から、クラウド基盤の統合データベースにデータを集約する構造のため、

 

四日市工場で得られたデータの分析結果を、北上工場へも即座に反映する事ができます。

 

データ集約による相乗効果が生まれ、1工場ずつ単体でデータ管理するよりも、はるかに高い生産性が得られます。

 


◆AI深層学習による異常検知技術


【CNN(畳み込みニューラルネットワーク)や1D-CNNなどの技術】
製造装置等に組み込まれた、振動センサーや音響センサーからの波形データを、画像データのように捉えてAIが分析。

 

人間の感覚では検知できない、ごく微小な波形データの異常をAIが読み取ります。

 

【時系列変化の予測技術】

「過去数時間〜数日間の温度・気圧・圧力の推移パターン」を学習し、将来の推移を予測します。

 

「このパターンの気圧変化が起きた場合、過去のデータに照らして、平均して4時間後に異常が発生する。」


というような予測をAIが行います。

 

【オートエンコーダ技術】

蓄積したビッグデータの中から「正常な時のデータ」を取り出し、

 

データを圧縮して「本質的な特徴データ」のみを抽出します。(エンコード)

 

抽出した「本質的な特徴データ」を元データに復元します。(デコード)

 

「正常な時のデータ」であれば、デコードを行った際に、元データとの差異が最小になりますが、

 

「異常な時のデータ」をエンコード、デコードした場合には元データとの差異が、正常な時と比べて大きくなります。

 

AIはこの差分を読み取って、異常を検知します。

 


◆フィジカルAI領域での実用技術


今話題となっている「フィジカルAI」では、AIがデータを学習し、分析。


現実世界の状況を理解し、自ら考えて判断を行い、装置やロボットを制御する技術です。


キオクシアのスマートファクトリーでは、その考え方が既に実用レベルで導入されています。

 

【製造装置の物理的補正技術】
製造装置内部には、モーターやアクチュエーター、電動バルブ等の物理駆動パーツが組み込まれおり、

 

これらのパーツは製造装置内部のプロセッサを介して、AIサーバーとリンクしています。

 

異常の兆候を検知したAIは、製造装置側に制御信号を送信。

 

装置内のプロセッサがそれを受けて、物理駆動パーツをミクロン単位で精密に制御することで、リアルタイム異常補正を行っています。

 

【自動搬送ロボットのルート変更・走行制御】
特定の処理エリアで不具合の兆候があったり、メンテナンス等で処理が止まってしまう場合にも、

 

AIがそのエリアで発生する搬送渋滞を予め予測。

 

ウェハの搬送、投入を停止するだけでなく、当該処理エリアへ向かう、

 

・AGV(自動搬送ロボット)
・AMR(自律走行搬送ロボット)
・OHT(天井走行搬送車)

 

を別ルートへ迂回誘導する、制御信号を送信。

 

その時空いている、別の処理ラインへ振り替えるなどして、生産性の最適化を実現しています。

 

AIは人間の仕事を支援するだけではなく、現実世界の装置やロボットを制御する時代へと進化しつつあります。

 

キオクシアのスマートファクトリーは、その進化を象徴する先進的な製造現場と言えるでしょう。


 

 



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(投稿日2026年7月21日)
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キオクシア岩手株式会社(2017年設立)が運営する、北上工場についてまとめていきたいと思います。
※四日市工場はキオクシア株式会社が運営

 


◆概要 

フラッシュメモリのさらなる需要拡大に対応するための製造拠点

 

AIを活用した最先端のスマートファクトリー

 

豊富な水資源と充実した交通網

 

岩手県北上市北工業団地5番29号

 

敷地面積(概算)356000㎡

 

クリーンルーム総面積は非公開

 

 


◆特徴

クリーンルーム内の製品の移動と処理は、生産管理システムによる完全自動制御。

 

四日市工場で長い時間をかけて培ってきたデータやノウハウをベースに、

 

新設ファブならではのさらなる高度化が図られています。

 


◆棟数

K1/K2の全2棟(Kは北上の頭文字)

 

K1棟:2019年に竣工。
鉄骨造5階建 建屋面積40000㎡

 

K2棟:2024年に竣工。
鉄骨造7階建 建屋面積31000㎡

 

 


◆拡張計画

K2棟南側の土地約70000㎡を2021年~2022年頃に追加取得済み。

 

今後拡張計画が本格化した際には、この土地を使用する可能性があります。

 

■2026年8月27日

K3棟の建設計画が報じられました。

 

予想通り、K2棟南側の土地に建設されるようです。

 

27日午後、太田社長がサンディスクCEOと共に、高市首相を訪問しています。

 

投資総額は、およそ1.8兆円規模になる見通しで、2029年度中の稼働開始を目指すとの事です。

 

日本政府の補助金も申請する方針で、投資額の3分の1程度を見込んでいるようです。

※1.8兆円 × 0.333 ≒ 6000億円

 

日本国内へ2032年までの6年間で、2社合計5兆円規模の投資を行う意向も発表しています。

 


◆周辺環境

K1棟の南側にAmkorの拠点があります。

 

【Amkor Technology】
米国最大手のOSAT(半導体後工程受託企業)
シェア15%前後
(2024年時点/世界2位の規模)

 

※北上工場で生産されたウェハの後工程を担当している可能性があります。
 



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(投稿日2026年7月22日)
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1992年の稼働開始から現在まで、キオクシアの主力工場としてフル稼働している四日市工場について、基本情報をまとめていきたいと思います。

 


◆概要

世界最大級のフラッシュメモリ工場

 

AIを活用した最先端のスマートファクトリー

 

三重県四日市市山之一色町800番地

 

従業員数6788名(2026年3月31日時点)

 

敷地面積694000㎡

 

クリーンルーム総面積は非公開

 

 


◆特徴

クリーンルーム内の製品の移動と処理は、生産管理システムによる完全自動制御。

 

数千台の検査装置等から生まれる、30億件以上/日のデータを統合データベースに登録し続け、これらをビッグデータとして活用。

 

詳細に分析、解析することで工場の生産性、歩留まりを向上させています。

 

人間では成し得ない、膨大なデータの分析をAI/深層学習により実現。

 

不具合の発生原因を自動的に推定したり、不良の発生を事前に検知する取り組みを行っています。

 


◆棟数

Y1~Y7の全7棟(Yは四日市の頭文字)

 

Y1棟:1993年に竣工。
改装され、現在は主に研究・開発棟として稼働の可能性。

 

Y2棟:1996年に竣工。
一度建て替えられ、2016年に新Y2棟として稼働開始。
鉄骨造5階建
建屋面積27600㎡

 

Y3棟:2005年に竣工
鉄骨造5階建
建屋面積24300㎡ 延床面積113000㎡

 

Y4棟:2007年に竣工
鉄骨造5階建
建屋面積35500㎡ 延床面積181000㎡
クリーンルーム面積48800㎡

 

Y5棟:(第1期)2011年に竣工(第2期)2014年に竣工
鉄骨造5階建
建屋面積38000㎡ 延床面積187000㎡

 

Y6棟:2018年に竣工
Y6棟に隣接する形で開発センターも竣工。

 

Y7棟:2022年に竣工
鉄骨造7階建
建屋面積20000㎡

 

 


◆周辺環境

Lam Research

 

東京エレクトロン

 

日立ハイテクなども四日市市内に拠点を持っています。

 



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(投稿日2026年7月19日)
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NAND(ナンド)フラッシュメモリーとは、一言でいうと
「電源を切ってもデータが消えない、大容量な記憶用半導体」のことです。

 


◆NAND型フラッシュメモリの発明(1987年)


東芝の技術者だった舛岡富士雄氏らが、電源を切ってもデータを保持し続ける、画期的な半導体「NAND型フラッシュメモリ」を発明しました。

これが、現在のキオクシアへつながる技術の原点です。

※現在は2004年に設立したUnisantis社で、DRAMに代わる、超高密度次世代メモリ「Dynamic Flash Memory」(DFM)の研究等を行っておられます。


 


◆NANDフラッシュメモリーの特徴1

「電源を切ってもデータが消えない(不揮発性)」

パソコンのメモリ(DRAM)は、電気を流し続けなければデータを保持できません。電源を切るとデータは消えてしまいます。

 

一方で、NANDフラッシュメモリーは、電荷蓄積層(チャージトラップ層)を絶縁体で囲って閉じ込める構造のため、電源を切っても、電子は簡単に逃げることができません。

 

そのため、電気の供給がなくなっても写真や動画、アプリなどのデータを、何年も保持し続けることができます。

 

私達が普段、日常的に使用している製品にも、NANDフラッシュメモリーは多く使われています。

・スマートフォンの保存領域
・PCのSSD
・USBメモリ
・SDカード
・Nintendo Switchのゲームカード
 など

これらは全てNANDフラッシュメモリーです。

 


◆NANDフラッシュメモリーの特徴2

「大容量化が容易」

現在のNANDフラッシュメモリーは、メモリセル(データを保存する部屋)を直列に繋いだシンプルな構造が最大の特徴です。

シンプルな構造ゆえ、配線の本数を減らし、メモリセルを非常に高密度に配置することが出来ます。

 

そのため、同じシリコン面積でも、より多くのデータを書き込むことが可能です。

 

少し前までは、メモリセルを平面上に(2次元的に)配置して並べていたのですが、メモリセルを小さく微細化するのにも、やがて限界が訪れます。

 

そこで、現在主流の3D NANDでは、高層ビルのようにメモリセルを上方向へ何十層~何百層も積み重ねる事によって、さらなる大容量化を実現しています。

 

これがキオクシアが世界に誇る、3次元フラッシュメモリ技術
【BiCS FLASH】です。


現在も世代を重ねながら、性能や記憶容量を進化させ続けています。

 


◆NANDフラッシュメモリーの特徴3

「書き換え回数には限界もある」

NANDの特徴として「不揮発性」を挙げましたが、半永久的にデータを保持し続ける事ができるわけではありません。

 

フラッシュメモリにも寿命があります。
(書き換え回数の限界)

 

NANDフラッシュメモリーでは、データを書き込むたびに、セル内へ高い電圧をかけて電子を出し入れします。

何度もデータの書き換えを繰り返すことで、少しずつ絶縁体がダメージを受け、微細な傷が生じるようになっていきます。

 

そして最終的には、絶縁体の隙間から電子が漏れ出てしまうようになり、正しくデータを保持できなくなります。

 

それでも、「SSDはすぐに壊れちゃうの?」と言うと、決してそんな事はありません。

 

内部に組み込まれたSSDコントローラーによって、全てのセルができるだけ均等に使用されるよう、自動的に書き込みが分散されます。

それにより、特定のセルだけに負荷がかかって、寿命が短くなってしまうような状況を防いでくれているのです。

個人が使用するPCやスマートフォンで、一般的な使い方をしている限りは、書き換え寿命を気にする必要は、ほとんど無いと言って良いと思います。
 



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