特効薬はない
初めから、元も子もないサブタイトルですみません。
みんなが悩むその症状とは?
気象病に悩む方の多くは、病院で薬をもらっています。
その症状は、主に頭痛、めまい、耳鳴り、動悸、吐き気、下痢、腹痛、関節痛、などが多いです。
どこの科を受診したらいいかわからないという話もよく聞きますが、症状によって違いますね。
耳の異常であれば、耳鼻科、お腹の異常であれば内科、精神的な不調であれば心療内科などです。
どの科でも、症状を緩和することしかできません。
根本的に、解決する方法がないのが現状です。
そもそも、「気象病は病気ではありません」。
自律神経失調症という、自律神経のバランスが崩れた状態です。
その狂いが、どこに出るかは個人差があり、耳の不調をいつも訴えている人や、耳鳴りやめまいはしないけど、いつもお腹の調子が悪いという人がいたりします。
そもそも自律神経という一つの器官があるわけではありません。
しかし、体全体のバランスが崩れていることは事実で、患者さんの多くはその他に疾患を抱えていることが少なくありません。
そのほかの疾患と言っても、具体的な病名がある場合と、肩こりや腰痛、冷え症など、これも「病気」と言うには厳しいようなものですが、その不調の加減は大きいものである場合とがあります。
例えば、冷えもなく、すこぶる体調が良いのに、どうも気圧で不調になる。
と言う人は、いたとしても少数のように感じます。
私は、今でこそ元気でいますが、昔から血行が悪く、生理が重かったり、頭痛持ちであったり、肩こり症であったりしました。
今も、気を抜くと体調が落ちてしまいますので、気をつけています。
気をつけていても、やはりひどい環境変化、特に季節の変わり目や、台風とか地震などの際には大きく体調を崩しがちです。
どんな薬を処方されているのか?
気象病の患者さん(という言い方しかできずにすみません)は、漢方薬を処方されていることが多いです。
その代表格が、
五苓散(ごれいさん)
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
です。
それぞれの説明については、専門サイトを見たいただく方がいいと思うので、リンクをしておきます。
その他に症状によって、酔い止めや、鎮痛剤などの西洋薬も処方されているようです。
さて、これらの薬を処方されていて、それを長期に服用してたとしても「完治した人」といいうのをあまり聞いたことがありません。
私に認識は狭い範囲なので、もしかしたらこれらの薬で完治した人がいるかもしれませんので、是非コメントをお寄せください。
それは、薬が悪いのでもなく、医師が悪いのでもありません。
気象病に対する、そもそもの考え方が間違っているのです。
漢方薬とは何か?西洋薬とは何か?
そもそも、薬ってなんでしょうか?
昔々の人々が、植物や鉱物が、ある種の不調や怪我に効くことを発見したところから、始まっていると思います。
メソポタミアのシュメール文明では、すでに薬の名前が粘土板に刻まれているそうです。
多分、日本でも縄文時代にも同じように、植物や鉱物の中から、体に良いものを経験的に知って使っていたと想像できます。
この症状には、これをこの位、さらにこのタイプの人にはこっちを混ぜると良いって研究する人がいたとしても不思議ではありません。
それは、常に自然界の「毒」と隣り合わせの生活だったからです。
概して「毒」とされるもの中には、少量を使うことで薬効が期待できるものも少なくありません。
まずは、毒を避けて栄養を摂る知識。
そして、不調になったときに何が効くか?
体への影響はどうなのか?
古代ギリシャでは、積極的に医療の研究がなされたことでも知られていて、「医療の父」を言われるヒポクラテスはあまりにも有名です。
それまでは、呪術的な要素が強かった病気の治療に対して科学をもって治療に臨んだ人たちがいたということです。
そして、「ヒポクラテスの誓い」はあまりにもう有名ですが、医師はいかなる患者に対しても治療という名のものとに平等である。ということも宣言しています。
そこに、毒についての記載もあります。
「致死量をやたらに誰かに伝えたりしない」ということも誓いの一つです。
これは、「薬」の特性が「毒の」側面を持つこともある証拠でもあります。
古代中国でも常に「毒殺」はクーデターの手段であり、常に警戒していたと思われる記述が、さまざまな物語に出てきます。
洋の東西を問わず、自然療法的な手段は今も各地に残っており、「漢方薬」だけが自然療法でないことをお伝えしたいと思います。
そして、現代で使われているいわゆる「西洋薬」と私たちが指している薬はほぼほぼ「化学合成した薬品の塊」であり、極力効率と安全性を考えられた人の手によるものです。
「漢方薬は自然のもの」と言う様な認識を私たちは持っています。
しかし実は、日本に流通している「漢方薬」というのも、そういう西洋薬の類とあまり差がありません。
それには、安全性や流通の原理など現代の社会での基準というのものが必要だからです。
では、何が違うのでしょうか?
中医と和漢
「漢方薬」といえば、やはり中国4000年の歴史だから、中国のものが優れている。
と思っている人がほとんどだと思います。
しかし、現代の中国に伝わって、実際に使われている漢方は4000年の歴史はありません。
なぜなら、中国では「文化大革命」と言う歴史的事件があったからです。
歴史に詳しくない方は、ご自身で検索してみてください。
しかし、現代の中国漢方はしっかりと息づいています。
それは、革命後、残された文献を紐解き、西洋医学の側面を持ちつつ、新しい考え方としてリニューアルされたのが、「現代の中国漢方」です。
経験的側面と、合理的側面を上手に融合させ、新たな分野として見事に再生しています。
これを「中医学」と言うカテゴリーで表していると私は思っています。
日本は、薬にどんな背景があるかといえば、その祖と言われているのが「少彦名」と言う神様です。
大国主とスクナヒコナは常にコンビで描かれ、この国作りの時に「医薬の神」「酒造の神」として参加しています。
お酒と薬が一緒というのも、人類にとってこの二つが同じカテゴリーだという事をよく表しています。
大国主が、因幡の白兎で、赤剥けになったウサギにガマの花粉を用いて治療した昔話はよくご存知だと思います。
さて、その後海外との交易などを通じ、さまざまなものが海外から伝えられてきます。
仏教が伝来すれば、お坊さんも優秀な医師としてその地位を確立していきます。
その大きな最初が、多分、聖徳太子の時代であったのではないでしょうか?
それまでも、海外との交易が盛んであった事実はすでに知られている日本ですが、国として後押しをした事業はこの時が最初かもしれません。
記録には、聖徳太子が「薬草は民を養う要物なり。厚く之を畜うべし」と言ったと残っています。
時代背景は、伝染病が蔓延しその平癒のために薬師寺が建てられたりしています。
さて、話が歴史になってしまいましたが、日本も古くからそれなりに医薬に関しての知識は持ち合わせていたということです。
スクナヒコナが一体いつの時代の人なのか?また想像上の人なのか?という議論になってしまいますが、少なくとも私はスクナヒコナが架空の人物であっても、その古い時代にはしっかり薬の知識はあったと思っています。
ここでは、こうした日本伝統の薬を「和漢」として、中医の漢方と差別化したいと思っています。
♪頭痛にBファリン
タイトルのそれは、当たり前に口から出てくる言葉となっている私の世代です。
小さい頃は、頭が痛かったら当たり前のように、その白い箱を取り出していました。
私は、小さい頃から頭痛持ちでしたので、肌身離さずと言っても良いくらいに常備していた薬です。
もちろん子供用なんてありませんから、一生懸命包丁で割って飲んでいました。
さて、鎮痛剤は一時的に痛みを和らげてくれる薬です。
でも、その痛みは大概の場合は一過性のもので、一時的でも和らげてくれればその役割は果たされます。
鎮痛剤を常に飲まなければならないほどの痛みは、鎮痛剤を飲んでいる場合ではありません。
他に重篤が原因があるはずですから。
では、「頭痛にBファリン」のように、「風邪に葛根湯」はどうですか?
割とよくあるパターンですね。
では、その効果は如何でしょうか?
「まあ、効く」「すごく効く」「そこそこ」的に思う人たちは、いらっしゃると思いますが、「全く効かない」と感じる人もいるはずです。
どういう時にどういう飲み方をするか?ってわかって飲んでいらっしゃる方はどのくらいかな?
あまり、考えないで飲んでらっしゃいますよね。
そもそも、葛根湯を飲んではいけない人がいるのをご存知ですか?
そうなんです。
葛根湯には「飲んではいけない人」が存在します。
葛根湯は体力が中程度以上の人は服用できますが、虚弱体質、例えば高齢者には強すぎます。
代わりに用いられるのが「桂枝湯」です。
「漢方は優しい効き目だから誰でも飲めると思っていた」という人がほとんどだと思います。
漢方薬は、効きがやわらかでも、ゆっくりでもありません。
薬によりますが、注意が必要な患者さんや薬もありますし、普段によく飲む薬でも、体調次第ではアレルギーや強い反応が出てしまうこともあります。
漢方薬=安全
という盲信は良くありません。
では「気象病に五苓散」という飲み方はどうでしょうか?
元々漢方の診断の仕方は、人を6つのタイプに分類するところから始まります。
ご存知の方も多いと思いますが、
1、陰虚(いんきょ)体に水が足りていない
2、気虚(ききょ)エネルギーが足りず疲れやすい
3、血虚(けっきょ)血が不足してて循環が悪い
4、水滞(すいたい)水分が多く溜まりすぎている
5、気滞(きたい)ストレスなどで気が滞った状態
6、瘀血(おけつ)血流が悪い
の6種類です。
この中で、気象病になりやすいのが、水分コントロールがうまくできない「水滞」のタイプを特徴として持つ人たちです。
どのひとも多少の差があり、6種類のうちの1つしか当てはまらないということはありません。
仮に、気虚の状態がおもで、特に水分のコントロールが悪いわけではない頭痛の人が、五苓散を飲んでもほぼほぼ症状は改善しません。
クラシエに、自分がどのタイプかがわかる簡易テストがありますので、リンクしておきます。
気象病に対抗するには?
一口に「気象病」と言ってもその症状は多様です。
人それぞれ、感受点となるお天気にも差があります。
気圧が下がる時に不調になる人がいれば、上がる時に不調になる人。
気圧は関係なく、湿度に反応する人や、気温差がダメな人。
また、太陽の光や、月の満ち欠け、地震や台風がダメな人。
これら全て、気象病のカテゴリーになりますので、
「みんな違ってみんな気象病でいい」です。
そして、重症化すればほぼ原因がなんだかも分からずに、毎日が辛い不調の日を送ることになります。
そんな不調を解決するには段階を踏んで、確実に治していくしかありません。
これから、具体的に例を挙げてお話ししていきますね。