加島 祥造
『求めない』 加島祥造

今話題になっている、加島さんの詩集です。

大きい字で、手乗りサイズの本の手触りもよく、繰り返しの言葉が何かを訴えかけてくれる一冊でした。

求めない、という言葉は、私にも共感できます。
作者は冒頭で、求めてもいいと、人間の本能を肯定してくれています。
求めてしまう気持ちを認めた上で、あえて自分が本当に必要なもの以外を求めないことで、本当に大事なものが確認できて、シンプルに感じて生きていけることを伝えているのだと思います。

人に期待しすぎない方がいいという私の気持ちと、一致することがある詩集でした。

加島さんは、人に求めないことで、人が安心してくれる、ということを書かれています。
人に期待を大きくして求めてしまうと、困惑してしまいますよね。

もちろん、期待をゼロにするのは無理。
親しくなればなるほど、相手の存在自体に期待してしまうものかなと思います。
だからこそ、自分で自制しないと、相手にも負担がかかるし、自分にとっても一人で生きて行くという土台が揺るいでしまって、辛いのも自分なのです。

そういった、人間の本能を知りつつ、シンプルに生きようという、80歳を超えて語る加島さんの言葉には、人間の最終的に到達する部分を見たように思いました。