ヘビ「志望動機は何?どうしてこの会社に入りたいと思ったの?」

白髪の黒縁眼鏡のヘビのような鋭い眼光の男性が聞いてきました。

コイツ誰だよ。って今なら思いますが、当時自分も若くてそんなことまで考えもつかない程心が真っ白でした。

キョロキョロ「はい、自分は食料品、特に青果物に興味がありまして、うんたらかんたら…」

自分が中学、高校の夏休み・冬休みに青果市場でアルバイトしていた事。野菜、果物などの農作物に興味があって、それに関わる仕事がしたかった事。などを話しました。この会社のお店を見学してきて、こんなお店で働きたいって思った事。内容は今考えても恥ずかしくなる程幼稚だったかもです。

ヘビ「で、君の強みは?」

キョロキョロ「協調性を大事にしてますから、誰とでも円滑に仕事を進めることができます。」

こんな感じの事を言ったような気がします。バカですねー。

ヘビ「あー、分かった。もういい。」

突然、不機嫌な顔に。

ヘビ「君、学生気分抜けてないね。情けない。」

ここから、ひたすら説教。

ただ市場でアルバイトしていただけの理由で青果物に関わる仕事をしたいといった薄っぺらい動機。お店は5店舗くらいあるのに、たった1店舗見てきただけで分かった気になってる。どうせなら全店舗見てこい。そもそも文学部のクセに流通の仕事をしようとしてる。本当にやりたいなら、経済学部に入るべきだろ。見通しが甘い。親はお前を生んだこと後悔してる。ゴミカス以下の存在。協調性!?そんなものいらん。人間関係なんか、円滑でなくてもいい。お互い仲悪くても競争になるから、むしろ、そのほうが会社にはプラス。仲良しクラブなんか一番いらない。




で、自分の若い頃の話。

小学生の頃から、親の手伝いで大八車を引いて仕入れに行っていた。昼間は仕事なのでみんなが寝ているときにローソクの火で隠れて勉強した。学生時代に金を貯めてアメリカに渡って、当時日本にはなかったグレープフルーツの農場に頼みこんで働かせてもらい、輸入して、一日3000ケースも売った。当時、最高級のマスクメロンを仕入れるために土下座して農家に頼みこんだ、などなど。

この手の嘘かホントかトンデモ話は沢山ありますが、またそのうち。

面接は初めに自分が5分話した後は説教と自慢話で終わりました。メチャクチャ罵倒され、バカにされ、精神的にボコボコにされました。気がついたら2時間弱たってました。

ヘビ「お前はとにかくアホでなんにも分かってないクズだから、今日家に帰ったら帰ったこと俺に報告して、その上で流通業についてレポートを200枚書いて送ってこい。じゃあな、もう出てっていいぞ。」

最後にそう言われました。

ガーン「失礼しました」ってズタボロになって出ていったら、控室には5人くらい待ってました。一人30分なのに2時間もやりゃこうなりますよね。なんかスンマセンって小さくなりながら帰りました。

もう、ムカムカムカついてムカついて!あんなに腹が立ったのって人生初めてだったと思います。

自分も甘かったのかもだけど、それにしても言い過ぎでしょ。いわゆる圧迫面接だったのかもですが、「親はお前を生んだことに、後悔してる。」まで言うか!?

でも、自分変な所でガンコというか負けず嫌いなので、怒りながらも帰りにいろいろ店を見て、本屋さんで「日本スーパーマーケット概論」なんて本買って、電車の中で読みました。そして、めちゃめちゃいいレポート書いて叩きつけてやろう!って本気で思ってました。

で、夕方、大都会に帰りました。

電話しろって言われてたので、電話しました。本当に真面目でした。今なら無視してしまうかも。

「もしもし、本日、面接させて頂きました白茄子です。担当の方、お見えですか?」

出たのは、ヘビではなく、横にいたもう一人の男性のほうでした。

「ああ、お疲れ様でした。今日は大変だったね。で、結論から言うとね、採用だから。」

はあ!?何それ!?ってフリーズしました。

しかも、あのヘビ、社長!!!だった!!面接1回目で社長でてくるか?そんなん、思いもよらなかったです。会社説明にも写真出てないし。

あのヘビ社長、なんでも、見込みありそうな学生には、とにかく怒らせて、泣かせて、それでも電話してきた学生に内定をあげるのだと、言われました。

内定辞退も考えましたが、就職がとにかく厳しかった事、そして何よりあのヘビ社長に仕返しがしたかった事もあり悩んだ末に内定を受けることにしてしまいました。

レポートはどうせ読まないので、送らなくていいとの事でした。なんじゃそりゃ。

今日はココマデ。

ではではー。