ずいぶん昔、まだわたしが小さかった頃、原島教学部長、山崎正友弁護士という、当時の大幹部が離反した、とゆう話が、学会内に駆け巡った。
わたしの家には、よく地区の幹部が集まって、打ち合わせや話し合いをしていた。
その日も、うちで集まりがあり、可愛がってくれていた、学会のおじさんたちに、挨拶して、わたしは、そのまま大人たちの輪に入って部屋に留まっていた。
まだ、お父さんは帰っていなかった。
おじさんの一人が、少しだけ声をひそめるようにして、これ読んだか、と何冊かの本を取り出した。
「ああ、読んだ読んだ。とんでもない悪党だな」
「組織を利用した悪人だ」
「酒におぼれていたようだ」
「池田先生を裏切った」
おじさんたちは、本を読んだ感想なのか、原島さんと山友さんへの嘲りを、口ぐちに言い始めた。
子供心に、聞くに堪えない、と感じた。(今言葉を当てはめるとこうなるけど、当時は子供だったので、聞いててイヤな気分になる、という感じ)
わたしは、その本を手に取り、パラパラとめくった。
両人の醜くカリカチュアされた挿絵からは、書き手側の悪意が読み取れた。原島さんと山友さんの「悪い行状」に関しての本だった。
スウっと、気持ちが冷える感じがした。それで、お父さんが帰ってくる前に、部屋をでた。
子供の頃から、創価学会の組織にいて、変に冷静になる瞬間が、何度もあった。
このときもそうだった。きのうまでは、大幹部として、崇めんばかりだったのに、風向きが変わると、平気で人を嘲ることができるおじさんたちに、違和感を覚えた。
もちろん、当時、二人が具体的になにをやったのか、とゆうことは知らなかったけど、創価学会から、本まで出版して、信仰ではなく、私生活のあれこれを糾弾する、とゆうのが、すごく卑しい感じがした。
自分の感覚に従ってよかったのだ、と思うことが、今に至るまで続いている。