わたしは
大量に生産されるためにつくられました
大勢の人間さまたちの
お腹の笑顔をみるために
わたしは食用の鶏だそうです
ブロイラーですね
わたしの
神様とかじゃなく人間さまとかに
審判された
年齢
いや日齢は40日ぐらいなんだそうです
わたしの保護者の方たち色々いるよ
広いお庭で
のびのびと晴れやかに鬼ごっこしたり
狭い息苦しい蟻地獄に放りこまれたり
ただ生きてるだけなの
生かされてるだけなの
当たり前か 食べ物だもの
とか
仕方ないよね
人間さまがお決めになられることだもの
わたしはただの鶏だけど
ふと思ったりすることあるの
今夜見る
わたしたちの その夢は選べるのかなって
がんじがらめの拘束服 無理
でも
夢なら夢ならば見れるかな?
ふと思う
わたしたちのお部屋って
電気毛布と羽毛(笑)布団に包まれて
ほんの束の間 ほんの刹那
快適なおとぎ話みたいなお部屋で
食べて眠ってお昼はお外で遊んで
夜が落ちたら
何かの夢が(誰の?)見れるかも
泡みたい
まるで そう
どこかのお国の子どもたちみたい
生まれてから一度も平和を見たことない
どこかのお国の子どもたちみたい
わたしは 生きて 40日で
多分 焼き鳥とかになるの
舌をお腹を 笑顔にするの
ふと思う
せめてわたしの40日分のわたしの夢を
たわいない わたしが見た その夢は
世界のどこかに 憶えて いて欲しいな
ブロイラーが居たんだって
あらかじめ予告された死期の定まった
てか
定まったって 決めたのわたしじゃないし
40回の夜と朝の 日齢時間の
生き物の
溜め息が
かすかな かすかな 誰にも聞こえない
毎日毎日 誰かに誰かが
もしかして
みんながみんなにみんなを
みたいな
喜劇と 悲劇と そして......
