自ら自画像を描こうとしない。

 

嘘だ。

 

鏡の奥は見たくはないよね。

 

それも嘘だ。

 

おべんちゃらんに耽る舌が首吊る人の足を引っ張る。

 

夢を見る。

 

レモンの香りがあたりに満ちる。

 

饒舌な温室の花々がみんなに褒めたたえられている。

 

レモンの香りが流れてる。

 

道端の草花の声はあっさり足蹴に踏みにじられる。

 

甘酸っぱいレモンの匂いが溜まってる。

 

女神が犬に堕ちたのか。

 

尾をふり牙をむきだしてうなってでもみせるのか。

 

誰に。

 

女神が番犬の役割をさせられるなんて。

 

誰に。

 

時計仕掛けの女神たちがたべごろ熟れた果実を両手いっぱい抱えてる。

 

アホな僕はそれを喜んで頬張るよ。

 

レモンの香りが流れてる。

 

嘘だ。

 

自らの墓場に向かう道すがら口笛吹きつつスキップし笑顔満面さんざめく。

 

今日も素敵な朝のようだな。