まず、マンガ批評を「伝える」メディアとして、専門的なウェブメディアの立ち上げが有効だと思います。深い識見に基づく批評記事を発信することで、マンガに対する理解を深めることができるでしょう。
次に、マンガ家と読者が直接対話できる場を設けることも重要です。マンガ同人誌即売会のブーストークやサイン会のような機会を通じて、作者は生の声を直接聞くことができます。読者も作者の人柄にふれることで理解が深まるはずです。
さらにSNSを活用し、気軽に意見交換できるプラットフォームを作るのも一案です。Twitterのハッシュタグを使ってテーマごとに論評を集めたり、Discordのようなチャットツールをマンガ批評の場として提供したりすることができるでしょう。
このように、オンラインとオフラインを組み合わせ、丁寧な批評を「伝える」機会を積極的につくることが、マンガ文化を活性化する近道ではないかと考えます。マンガ批評の可能性を信じて取り組んでいきたいです。
このようなマンガ批評文化を根付かせていくためには、批評自体の質を高めることも重要だと思います。
まずは批評家自身がマンガに対する深い造詣を持つことが大切です。技法や表現手法など、マンガの奥深さを理解しないままの批評は説得力を欠きます。批評家のリテラシー向上のための研修制度などを検討できるでしょう。
また、批評の論理性や客観性を高めることも求められます。自分の好みの押し付けにならないために、論点を明確にし、根拠を示すなどの論文の手法を取り入れるのも良いでしょう。
一方で、感想や印象といった批評の多様性を尊重する必要もあります。批評とは分析すること以上に、作品を媒介としたコミュニケーションなのですから。
マンガ批評が真に創造を刺激する文化へと発展するには、批評空間の質的向上が欠かせません。そのためにこそ、批評家とマンガ家の協働が重要となるのです。
