わたしは、すぐに
人を好きになるタイプかもしれない。

たけど、貞操はある。

わたしの相手は生涯たった一人。
今の夫だけだ。
それ以外、男性と
関係を持ったことは一度もない。

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昔から男友達が多かった。

中高も、男子と仲が良かった。
向こうも、わたしを
女として見ていなかった。
なので、楽に付き合えた。
(友だちとしてね)

社会人になってからも、
男性と仲良くすることが多かった。
(社会人と言っても、正社員は1年だけ。
 あとはバイト三昧)

ご飯食べに行ったり、遊びに行ったり。
もちろん、それ以上の関係はなかった。
フランクに付き合える男友だちだった。

もちろん、男友だちだけでなく
女の子も一緒に遊んでいた。
ヲタクだったからね。
グループでメイドカフェに行ったり、
ゲーセンで遊んだりしていた。

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つまり、わたしは昔から
女性らしい魅力がないと言うことだ。

スカートを履くのも嫌い。
いつもTシャツにパンツスタイル。
冬はパーカーにズボン。

女の子らしい仕草や言葉遣いができない。
何で、出来ないのかって?
恥ずかしいからだよ。
ブリブリしているのが苦手なのよ。
そう言う自分を出すと、
気持ち悪くて虫唾が走ってしまう。
女の子を押し出したくないのよ。

だから、夫と付き合っている時も
女性らしさはなかったかな?
いや、初めて女性らしくなれたのかな?

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初めての彼氏は20歳の頃。
相手はバイト先の浪人生。
わたしがストーカー染みていたから、
すぐに別れを切り出された。
もちろん、身体の関係はなし。

二人目は、社会人。
同じ職場の男性だった。
彼がモラハラ気質で、辛くて別れた。
彼とも関係は持っていない。

三人目の彼氏が、今の夫である。
3年付き合って結婚した。
前の彼氏がモラハラだったから、
優しい夫に惹かれた。
ちなみに、プロポーズされるまで
関係は持っていない。

それくらい固い女だった。

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さて、夫と結婚して8年。
子どもが出来て3年。

普通の日々を過ごしていた。
夫に不満はない。
家事も育児も積極的にやってくれて、
かなり優しい夫だ。
一つ難点があるとすれば、
ネガティブルーなところだ。

ネガティブ、ブルー。
たまに、めんどくさくなる。
でも、そこも引っくるめて
わたしの夫なのだ。

そんな、何不自由ない
穏やかな日々を送っていたのに、

わたしの前に、ときめく男性が現れた。
わたしと子どもの主治医だ。
優しくて厳しい、真面目な医師。
彼の真摯な姿に惹かれてしまった。

さらに、イケメンなのよ!
二重の瞳がカッコ良くて、声もクール!

先生と出会う前は、
イケメン嫌いだったのよ。
カッコ良い顔立ちを見ると、
何か胡散臭くて苦手だった。

(過去に、イケメンで嫌な思いをしたのよ。
 とある期間限定の遊び場。
 わたしがオープニングスタッフで、
 彼は後から入って来た。
 入ってくるなり、わたしに近づいて来て
 何となく仲良くなった。
 信用していたから、
 遊園地で使う大事な台本を彼に貸した。

 そしたらね、返してくれなかったのよ。
 さらに、わたしと仲良かったのに、
 知らないうちに、
 若い美人な女性スタッフと
 付き合っていたのよ。

 今も根に持っている。
 忘れられないくらい。

 根に持ってるって、美女にイケメンを
 取られたからじゃないのよ。
 それより、わたしの大事な台本返せー!
 って恨みです。
 いや、ガチでそうです。

 だから、イケメンが嫌いになったの)
 
そんなイケメン嫌いだったのに、
わたしが好きになった医師は、
限りなく端正なお顔立ち!
もう唯一無二よ!
あんなにカッコ良くて、
素敵なお医者さまはいない!

そして、いつしか
先生を男性として見てしまった。
そう思ったら、
急激に好きになってしまった。

目も合わせられないくらい、
ドキドキして
身体が震えてしまう。

こんな感情は初めてだ。
二人の元カレや、夫にも
感じたことのない、不思議な気持ち。

だけど、先生との関係は望んでいない。
彼も既婚者だからだ。

彼の奥さんは、サバサバしていて
キャリアウーマンって感じ。
女性らしくて、メイクも綺麗。

仕事も出来る、自立した女性。
彼女の姿を見るだけで分かる。
本当に魅力的な女性だ。

哀しくなるくらい、
わたしと似ても似つかない。
マイペースなわたしと、
掛け離れたスーパーウーマンだ。

そんな美しい奥さまと、
対立するつもりもない。

ただ、プラトニックに先生が好き。
出来れば、お近づきになりたい。
いろいろとお話してみたい。

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結局、何が言いたいかと言えば。

わたしが珍しく、
女性らしい感情を持ったのだ。

夫には申し訳ないけど、
こんなにドキドキする男性に会ったのは
先生が初めてかもしれない。

夫と付き合っている時も、
目が合わせられないくらい好き!
と言う気持ちはなかった。

夫は、ときめきと言うより安心感。
こっちの気持ちの方が、
結婚に向いているのかもしれない。

そしたら、先生へのドキドキは何だろう。
恋に恋してるってことなのか?
自分でも分からない。

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これ以上、先生を好きになったら辛い。
叶わない恋だからこそ、
ブレーキをかけないといけない。

先生も、わたしの好意は知っている。
わたしの気持ちに気付いて動揺していた。

それから、先生の態度が
塩対応になったから
嫌い避けか、ごめん避け。

どちらかと言うと嫌い避けかもしれない。
奥さんにも、好意がバレたから、
仕事がやりにくいだろう。

男性が女性の好意に気付くと言うことは、
男性もその時点から、
その人を女性として見るはずだ。
つまり、先生も患者ではなく
一人の女性として、
わたしを見てしまったのかもしれない。

やはり、先生と離れるべきか、
迷ってしまう。

ずっと、ずっと悩んでいる。