迷いしろくまです。ʕ•ᴥ•ʔ
Kくんと一夜を共にした次の日の朝。
熟睡した感じがあまりなかったが、不思議と眠くなかった。
昨日の夜は何と言ったら良いのだろう。
性的な営みはほとんどなく、動物のじゃれあいのようなことをしていた。
お互いの存在を確かめるかのように、何かつながりを見出したくて何度も抱きしめる。
目が合うと、Kくんが私のことを「可愛いね」と言ってくれて、抱き寄せてくれる。
頭を撫でながら抱き枕のようにぎゅっとされた。
体の圧を感じて少し苦しさがあったが、それさえも心地よかった。
私も腕を回そうとするが、Kくんの体を一周することが出来ない。
そんなことを繰り返していた。
情欲の出口を探すより、お互いの匂いを嗅ぎ合うまるで獣のよう。
これは一時で終わってしまう気持ちなのだろうか_
自分に対してもKくんに対しても、何の確証もないまま先のまだ見えない道を歩いているような感覚。
Kくんと朝食を食べ、ホテルを出た。
その後、Kくんが年に何度か訪れている高原へと向かった。
車の中では、昨日の続きの懐メロをかけていた。
今朝まであんなに近くにいたのに、車の中とはいえ、外に出ると何となく触れてはいけないような気持ちになる。
情事と言える程の肌の重ね方ではないにしろ、その後がいつも分岐点のような気がしている。
行為のあとに、冷めるかどうか。
私の方は全く冷めておらず、それどころか加速している気がした。
Kくんは、どうなんだろうか…
この気持ちは私だけなのだろうか…
恋愛下手な私は客観的にみて、いつも以上におどけた振る舞いをしているように思えた。
そうやって、傷付かないための準備に入ろうとしているんだろう。
まだ終わっても始まってもいないのに、染み付いた習慣とは恐ろしい。
その後、一緒に昼食を食べてお別れすることになった。
Kくんの帰りの時間を考えると、長ったらしい別れは好ましくないと思い、お互いあっさりとそこで別れた。
今日は殆ど車内で密室だったが、手をつなぐことも、キスをすることもできなかった。
なんて臆病者。
果たして、Kくんは私の事をどう思ってくれているのだろうか。
駆け引きをするつもりはなかったのだが、なかなか別れた後すぐには連絡することができなかった。
つづく。