しろくまです。
中学生でAutomaticを聞いてから、未だに新曲が出るたびワクワクしてしまう。
宇多田ヒカル嬢は私の少し年上で、私の恋愛は何度も彼女の歌に支えられた。
「アーティストは、不幸が芸を肥やす」みたいな言葉を聞いたことがある。
彼女は母の死後、「Fantome」というアルバムをリリースした。
Fantomeはフランス語で「幽霊」「幻」「亡霊」「気配」を表す言葉。
2013年に亡くなった母・藤圭子に捧げる作品として制作された名盤だ。
何も知らずに聞いていた時、歌詞に出てくる「あなた」は恋人かと思っていたが、
「あなた」はお母さんの事だった事を知り、本当の意味と、きっと面と向かっては言えなかったであろう母への素直な気持ちはただただ「愛」だった。
私の心の中にあなたがいる
いつ如何なる時も
一人で歩いたつもりの道でも
始まりはいつもあなただった
どんなことをして誰といても
この身はあなたと共にある
一人で歩まねばならぬ道でも
あなたの声がきこえる
私の心の中にあなたがいる
いつ如何なる時も
どこへ続くかまだ分からぬ道でも
きっとそこにあなたがいる
宇多田ヒカル/道 (歌詞抜粋)
母の存在を、その身に掘ったタトゥーのような歌。
正真正銘のアーティストだと、本当に尊敬する。
ライブ映像で少し涙目のように見える顔を見ると、心が締め付けられる_
そのアルバムには「ともだち」という曲がある。
タイトルからは想像もつかない意味を持つ「ともだち」
この曲は、宇多田ヒカル嬢のある発言で少し話題になった。
抜粋した歌詞がこちら↓
笑顔見れる 距離にいれる
それだけでいい
友達なら側いてもおかしくない
君に触れるあいつ見てる
報われない想いばかりが募る夜更けは
どうしたらいい?
気付かないフリとか
中途半端な優しさに 泣きたい
Oh 友達にはなれないな にはなれないな Oh
Oh 何故なら触れたくて仕方ないから Oh
Oh 友達にはなれないな にはなれないな Oh
もう君の一番じゃないと意味がないから Oh
胸の内明かせたら いやそれは無理
とても上手に嘘をつけるのに 心は馬鹿正直
キスしたい ハグとかいらないから
Let me have one kiss やっぱり…
恥ずかしい妄想や 見果てぬ夢
持っていけばいい 墓場に
宇多田ヒカル/ともだち(歌詞抜粋)
NHKの「SONGS」に出演した際、この曲について、ストレートの同性に恋をしてしまったゲイの気持ちを唄った曲と本人が明言している。
この曲について、ある女性ファンが「ストレートの友達に恋するゲイの話ってステレオタイプ過ぎない?」とTwitterで宇多田ヒカル嬢に宛ててツイート。
私の勝手な解釈だが、ストレートの宇多田ヒカルから見たこの曲の世界観はありきたりじゃない?という事を言いたかったんだと思います。
すると宇多田ヒカルは
「なぜ私が”ストレート”だと思ったの?」
と返したんですよね。
これが宇多田ヒカルのカミングアウトだと言われています。
かっこよすぎだろ…
当事者であるゲイの私には、中学高校の恋心を思い出す。
好きな人を思い、側にいれることだけで嬉しかった。けれど…
こんな恋が一生続くを思い、絶望した夜は沢山ある。
この気持ちは誰にも言えず、伝えられず、私は死んでいくのだと思った。
好きな人は?という質問は、まるで踏み絵のようだった。
表現者でもあり、一人の人間としてあなたを尊敬します。
あなたの歌で、言葉で乗り越えた夜や恋が沢山ありました。
私も私の人生をちゃんと生きなきゃな。
ちなみに彼女の親友のクマのヌイグルミは”ゲイ”である。
おしまい。