こんばんは、しろくまです。
私が働いていたゲイバーに良く来る変わったお客さんがいた。
当時40歳前後くらいで、背は低く体型はずんぐりむっくりしたドワーフみたいなおじさん。
頭はマンバンにしてあり、髭は濃くラウンド髭を生やしていた。
可愛らしくもいかつい、そして本人は至って穏やかというマスコット的存在のおじさん。
※イメージ笑
お店の一番下っ端の自分にも優しくて、私はこのおじさんが大好きだった。
おじさんはお店で良く、みんなで食べるピザを良く注文していたのだけれど、私に選ばせてくれたりすることが多かった。
おじさんはいつでもニコニコしていて、人懐っこい。
でも対象的に体にはタトゥーが所せましと彫られていた。
しかも全部ドクロ…
おじさん、いかついぜ…。
そしてこのおじさん、多分ヤ○ザ。
何で確信したか忘れてしまったが、確かヤ○ザだったのだ。
新宿二丁目にはそういう人も数多くいる。
オラオラ系のタイプもいれば、このおじさんのように穏やかな人もいる。
おじさんは、いつもお店で笑いながらお酒を飲んでいる。
誰かを口説いていたり、どんな人がタイプかを自分から言うことはなかった。
気になった私はおじさんに聞く。
どんな人がタイプなのかと。
お「俺はニューハーフが好きなんだ。男でもなく女でもない所がたまらないねぇ」
私はおじさんの言葉が正直良くわからなかった。
きれいなニューハーフを女性として見るのならわかるのだが、男でも女でもない所がすきとは一体…
おじさんは、見た目は女性で体はちん○がついている事が大切だという。
私「それじゃあ、ちん○を取ったニューハーフはだめなんですか?」
お「そうだな、興奮はしないね」
なるほど。
当時はまだ言葉すら無かったが、今で言う所の『男の娘』ジャンルがおじさんは好きだったのだ。
お「俺みたいなやつのこと、何ていうか知っているか?」
私「ゲイはゲイなんですかね。うーん、わからないです。」
お「ヘホって言うんだよ」
私「ヘホ…初めて聞きました!何かの略ですか?」
お「おお、そうそう!ヘンタイホモの略だな」
へ、ヘンタイホモとな!!
(字面が強すぎぃー!)
小学生かよっ!と思ったが、どうやらこの町ではその言葉は本当に存在するのだ。
(あまり一般的ではないが、わかる人はわかるみたい)
おじさんは女性とも男性ともお付き合いしたが、しっくりこなかったらしい。
そして紆余曲折を経て、ヘホとして自身の性的趣向がわかったとのこと。
世界は広いなぁと思いながら、なりたい自分とそれを好いてくれる人がいることに、私は嬉しく思うのだった。
幼い頃、しかも田舎にはまだまだゲイという事自体認知されていなかった。
ゲイである自分は異常だと思っていた。
いつかは治るのだろう、でも治らなかったらどうしよう。
友だちや親兄弟には絶対相談できない、きっと気持ち悪いと思われるだろう。
私のような人間は、他にもこの世界のどこかにいるのだろうか_
まるで地球に残された、ただ1人の火星人として生きていた。
私の血は地球人とは微妙に違っていて、それがバレたら殺されてしまう。
他に同胞はこの地球にいないのだろうか、でもどうやって探せば良いのだろう_
この新宿二丁目には同胞がいて、それを受け止めてくれる多様な人達がいることに、私は救われていた。
昔のどうしようもなく将来が不安だった私に教えてあげたい。
同胞は見つかるし、ちゃんと好きな人と付き合う事もできるんだと。
私はこのヘホのおじさんに、もう一つの疑問を恐る恐る聞いてみることにした。
私「何故入れ墨が全部ドクロなんですか?」
つづく。
※春服買うのって、色々悩みますよね。
そして更にいつも迷うのがパンツ…
好き嫌い分かれますが、個人的に落ちすぎないサルエルパンツがだいちゅき。