こんばんは、しろくまです。
二丁目のお店で働いていた時、私はまだ大学生だった。
働いていたお店では、月に一度スタッフミーティングがあったのだが、昼から始まるMTに、私は参加することが出来なかった。
しかし、たまたま休講の日にMTが開催されることに。
初めてMTに参加する事になった。
お店のスタッフは私以外皆さん社会人。
副業でやっている方もいたが、基本的にはアルバイト一本でされている方が多かった。
年齢も20代半ばから30代前半くらいまでの人がほとんど。
入店直後の私の時給は900円だった。
色々査定もあるみたいで、勿論時給はバラバラだったが深夜料金なんてものは存在せず、交通費も無かった気がする。
給与形態は、お店によってはかなり異なる点が多かった。
自分のバースデイパーティの全部の売上の数%を支払うお店もあったが、私が働いていたお店ではなかった。
主役が稼げるのはお客さんからのおひねりだけだ。
お水の世界でも、新宿二丁目に入りたての時の時給はかなり低かった。
でもお酒は飲めるし、色々な人に会えるのは楽しかった。
ゲイという共通点だけで、年齢も職業も関係なく話せたり、二丁目には芸能人も来ることが多く、とても刺激的だった。
そんな色んな側面を孕んだ新宿二丁目、昼間に来ることは初めてだった。
昼間のお店は、違う空間にいつかと思うくらい夜の顔とは違う。
そしてお客さんがいない中、スタッフが宅を囲んでいる姿をみて、私はふざけられない空気を肌で感じるのだった。
MTの前に、事前にママから「あんたは取り敢えず来るだけでいいからね」と言われていたので、取り敢えず来た。
そして、端に静かに座った。
今日は全員勢ぞろいだ。
私を面接してくれたオーナーもいる。
オーナーがいることで、みんな緊張感していることがわかった。
張り詰めた空気の中、MTは始まる。
議題は売上について、だった。
どの時間帯の誰のシフトの時に売上が良いのかなど発表されている。
二丁目の店子とは、シビアな人気商売。
特に若い従業員が沢山いるお店ではそれが顕著なのだろう。
…だからあんなに私は虐げられたのか?!可愛いからか!
(違う)
一見さんも多いが、店子目当てで来るお客さんも確かに多い。
だからこそ接客によって、リピーターにできるかが大事なのだ。
新宿二丁目だから、アルバイトだから、ゲイの世界だからと言って適当な子もかなり多い。
舐めている姿は、仕事ぶりに出る。
尊敬出来る人もいれば、そうじゃない人いる。
一通り発表がおわり、おもむろにオーナーが指摘する。
「Eの時間帯の売上がどんどん落ちているなんだけど、アンタ原因わかっているの?」
オーナーはEさんの顔をじっと見つめる。
普段は優しいオーナーだからこそ、そのギャップが凄い。
Eさんは誰かに助けを求めたようにキョロキョロしているが、誰も目を合わせようとしない。
ここでは仲良しごっこは通用しないのだな。
生き抜くことは、みんな死活問題なのだ。
つづく。