思い出した。

久美子がくも膜下出血で倒れる1年前の事だ。

私が定年退職を迎えたら、私の腎臓を久美子に移植しようと告げた。

腎臓移植は血縁関係者以外では適合性が難しく困難を極めるが、私には絶対に適合するという確信があった。

だが久美子は「パパの腎臓は絶対に断わる、パパは長生きして愛実たちを見守ってほしい」と言った。

久美子にもっともっと長生きして欲しいと頼むが、「私は大丈夫よ」と笑う。

久美子の想い、しっかり絆ぐよ。