先月1月11日に厚生労働省が医師の働き方改革に関する有識者検討会を開き、「地域医療の核となる医療機関の勤務医」の残業時間を1900~2000時間とする案が示されました。「一般的な勤務医」は一般の労働者と同様の960時間とされましたが、シロイルカ総合病院は直感的に「地域医療の核となる医療機関」だと思いました。また、「医療の質や安全の確保のため、勤務日において最低限必要な睡眠6時間を確保できるように、連続勤務時間を28時間までにすること、勤務間インターバルを9時間以上にすること」とされました。
 そう言えば1年ほど前、勤務時間調査の依頼があり、自分の出退勤時間を確認しながら、なるべく正確になるように、「毎日、よく働いているな。自分をほめてやりたいよ」と思いながら、調査用紙を埋めたことを思い出しました。全国のこの調査が基になり、勤務医の勤務状態があらわにされ、病院常勤勤務医の1割が年間1920時間を超えるの時間外労働をしているという実態が浮き彫りになったようです。
 土曜・日曜・祝日に安定した入院患者の回診を行う義務はありません。ただ、日曜日の今日もまた、医局(医師の机がある場所)ではいつものメンバーの顔を見て、外科系の病棟ではほぼ全員が集合して診療に当たっていました。医療の質を落としたくないという気持ちが、入院患者の回診をさせ、一般外来患者のデータチェックを行わせます。医師の数がもう少し多ければ、一人一人の負担が減ってゆくのだろうと思います。
 今、私の立場でできることは、総合診療科の医師やシロイルカ総合病院の研修医がそれぞれの生活を犠牲にすることなく仕事ができる環境を整えることだと思います。5年、10年、15年の後には、この病院に勤務する医師全員が「労働時間規制の原則である『時間外労働のない週40時間労働』を、また、時間外労働や休日労働を行う場合であっても一般則が求めている水準と同様の労働時間を達成する」ことを目標に、皆が意識して動く必要があると思います。(くま)