ブログを始めて10年が経過しました。2009年2月11日、私は那賀郡(なかぐん)医師会の休日在宅当番日で、朝からシロイルカ診療所へ出勤していました。来院される患者さんは少なく、ブログを作成する時間があったのだと思います。すでに那賀郡医師会は浜田市医師会と合併し、休日在宅当番は浜田市休日応急診療所に吸収されました。10年の間にとらさんが加わり、さるさんが宮城県に行き、えびさんたちが新たに加わりました。私はシロイルカ診療所からシロイルカ総合病院へ望んで移籍しました。

 この間に「総合診療」という名称が定着し、「総合診療専門医」の育成が始まり、「総合診療科」が全国の医療機関に誕生しました。新専門医制度は2年目を迎えました。総合診療専門医を目指す専攻医(かつての後期研修医)の応募が毎年1000人を超えることを期待していましたが、実際には昨年約180名、今年も同数程度にとどまっているようです。内科専攻医が2600名であることを考えると、100年以上の歴史を持つ内科とまだ2年しか経過していない総合診療科の間に大きな力の差があることを感じました。

 現在、シロイルカ総合病院の総合診療科には4名の医師がいます。内科系の医師が集まって総合診療科を形成し、得意な領域も診療スタイルも様々ですが、助け合って診療を行っています。こうしてみると、総合診療を行うことと内科診療を行うこと、そして総合診療専門医を育てることと病院総合医を目指す内科系専門医を育てることには大きな差がないように思えてきます。また、外科系であっても病院総合医として診療を行うこともできるはずです。

 シロイルカ診療所で勤務していた頃、総合診療に興味がある学生から、「先生は病院総合医を目指しているのにどうして診療所で働いておられるのですか」と質問を受けたことがありました。診療所と病院の間に大きな隔たりを感じていなかったので、その質問に意外な感じを覚えました。実際に診療所から総合病院へ移籍すると、仕事の内容に大きな隔たりがあることを実感することになりましたが、流れている発想は同じものであると思っています。

 「シロイルカ診療所のまめで生きよう」が10周年を迎え、読者の皆様に感謝申し上げます。さらに次の10年に向けて、たくさんのドラマを記録してゆきたいと思います。(くま)