①ホルムアルデヒドの性質・特徴

 

 

 

 ホルムアルデヒドは有機化合物の1種で、ツンと鼻につく独特な刺激臭のある無色の気体で、強い毒性があります。空気より少し重いため、下にたまりやすいです。揮発性が高く、温度依存性で、温度が高くなると室内での濃度が高くなります。

 

 メタノール(メチルアルコール)が酸化されると、ホルムアルデヒドになります。化学物質からできる事もあれば、天然由来の物質からできる事もあります。

 

 ホルムアルデヒドは架橋反応という細胞膜(タンパク質)の一部(アミノ基やカルボキシル基)と反応(アルキル化)し、1つの細胞膜表面で、橋のような構造を形成(架橋)する反応を起こし、細胞膜のタンパク質構造を変化させ、細胞を死滅させるため、私たちにとって有害です。

 

 ホルムアルデヒドは水に溶けやすく、37%以上の溶液はホルマリンと呼ばれています。このホルマリンは、無色透明で刺激臭があり、架橋反応を利用して組織標本などの防腐処理に使用さています。ワクチンを製造する過程の不活化処理やワクチンの添加物等としても使用されています。

 更にホルムアルデヒドはフェノール樹脂、メラミン樹脂などの原料にも使用されており、家や家具の接着剤や塗料として広く利用されています。

 

 また、有機物の不完全燃焼や、光化学反応によって大気中の炭化水素(HC)からも生成されるので、光化学オキシダントの構成成分の1つになっています。

 

 

 

②ホルムアルデヒドの人体への影響

 

 

 ホルムアルデヒドは粘膜への刺激性があり、その濃度によって、急性毒性として呼吸器、目、鼻、喉などに炎症を起こします。慢性毒性としては肝臓や腎臓などの臓器への障害があります。

 

 症状としては、

  ・頭痛 ・目がチカチカする ・涙がでる ・鼻水 

  ・のどの渇きや痛み ・咳 ・呼吸がしにくい 

  ・アトピー性皮膚炎やその悪化 ・喘息やその悪化

      ・吐き気 ・鼻血 などがあります。

 

 また、発がん性については多くの研究が発表されており、WHOの外部組織である国際がん研究機関(IARC)では、発がん性分類1という、発がん性がある物質として指定されています。

 これを受けて、日本では平成19年特定化学物質障害予防規則の改定により、ホルムアルデヒドは特定化学物質第2類物質となり、発がん性があるとされています。

 

 日常で高濃度のホルムアルデヒドに接触する機会はほとんどなく、建材や塗料などに含まれる低濃度のホルムアルデヒドに、知らぬ間に接触している事が多いと考えられます。しかし、低濃度でのホルムアルデヒドの長期暴露による影響については、国際的にも報告がとても少ないのが現状です。

 

 日本の実験動物を用いた研究から、低濃度長期ホルムアルデヒド暴露は、遺伝素因や抗原刺激などによるが、神経ー免疫系ー内分泌に関するネットワークのかく乱作用を誘導し、記憶・学習・免疫の記憶情報回路にかく乱作用を生じていることが示唆されています。

 

 

 ホルムアルデヒドは濃度により表れる症状に違いがあります。

 

 産業医学日本化学会誌より、FA(ホルムアルデヒド)気中濃度(ppm)と症状

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/dl/s0722-8f_0002.pdf

 

 単位が㎍/㎥、㎎/㎥、ppmと様々に表記されますが、

  100㎍/㎥=0.1㎎/㎥=0.08ppm

 となります。

 基準値や測定値をみる場合には、単位に気をつけて下さい。

 

 

 

③ホルムアルデヒドに関する法令・基準など

 

  • 毒物及び劇物取締法による医薬用外劇物
  • 特定化学物質障害予防規則における第2類物質
  • 医薬品医療機器等法
  • 食品衛生法
  • 食品安全基本法
  • 水道法
  • 建築基準法
  • 家庭用品規制法
  • 労働安全衛生法

など

 

 

 基準値としては

  • 室内空気中化学物質の室内濃度指針(厚生労働省)  100㎍/㎥=0.1㎎/㎥(0.08ppm)
  • 水道法に基づく水質基準値   0.08㎎/L
  • 建築基準法   0.1㎎/㎥以下(0.08ppm以下)
  • 家庭用品規制法に基づく肌に触れる繊維製品のホルムアルデヒド  75ppm以下(生後24カ月以下の乳幼児では16ppm以下)

 など

 

 

 

④ホルムアルデヒドの体内動態

 

 ホルムアルデヒドは呼吸器、消化管から吸収され、肝臓でホルムアルデヒド脱水素酵素により酸化され、ギ酸となり、最終的に二酸化炭素と水に分解されて、排泄されます。

 

 吸収されたホルムアルデヒドの約6割は、尿や便として、約3割は呼気中へ排出されます。

 

 ホルムアルデヒドは、飲酒によるエタノールの代謝と競合しますが、その代謝速度はエタノールの約1/9と遅いです。

 

 ホルムアルデヒドの代謝物であるギ酸は反応速度が遅いため体内に残留し、毒性を示します。ギ酸が体内に増えるため、体内(血液)㏗バランスが崩れ酸性側に傾くことがあり、これを代謝性アシドーシス(血液㏗7.35以下で炭酸水素イオン(HCO)が低下した病態)といいます。代謝性アシドーシスは、体内で炭酸水素イオン(HCO)が減少した状態または酸性物質の排泄が滞ったり、酸性物質が過剰に生産された状態で、進行すると意識障害、頻呼吸、不整脈、悪心・嘔吐などを引き起こします。

 また、ギ酸がミトコンドリアの電子伝達系の酵素を阻害し、視神経に毒性が現れるという報告もあります。(メタノール摂取による失明など)

 

 

 

⑤考察:取り込んでしまったホルムアルデヒドの害を減らすために何をしたらよいか?

 

・まずは取り込まないように、身体に変調を感じる空間は避けます。そして体内に取り込むものは、確認してからにします。

 

・換気とサーキュレーターなどを使用し、下に溜まりやすいホルムアルデヒドを分散させます。

 

・繊維製品にも含まれているため、使用頻度の高いマスク等は、天然素材のものを使用します。

   (日本薬学会第141年会 家庭用マスクに含まれる揮発性有機化学物質及び紫外線吸収剤の実態参照)

https://confit.atlas.jp/guide/event-img/pharm141/28PD1_01-40/public/pdf?type=in

 

・身体は部位によって、皮膚からの吸収率が異なるため、肌に直接ふれる下着は特に、天然素材にします。 

 前腕(内側)を1とした場合の身体の部位別吸収率は「 頭皮3.5倍 前額6倍 頬13倍 あご13倍 背中1.7倍 わきの下3.6倍 陰部42倍 」となっています。

 

 

・きちんと排出されるように、便通をよくしておきます。

 →発酵食品を毎日摂り、腸内の善玉菌が優勢になるようにします。日本人の体質には、お味噌やお漬け物、納豆といった昔からある発酵食品がおすすめです。お酒なので、注意が必要ですが、酒粕も便通改善が期待できる食品です。また、腸の動きをよくするために、汗ばむ程度の運動を習慣化し、お水をしっかり摂ります。

 

 

・飲酒により代謝が遅くなる可能性があるので、飲酒を控えます。

 →我慢し過ぎてストレスにならないよう、お酒の場でのコミュニケーションは、時にストレス発散となり、精神的によい事もあるので、飲酒は程々にします。

 

 

・肝臓での代謝がきちんと行われるように、肝機能に注意します。

→お酒やタバコ、薬だけでなく、睡眠不足や暴飲暴食、過労やストレス、運動不足でも肝機能は落ちます。更にマスク生活は呼吸が浅くなり、酸素不足を招いています。これにより体内で生成した乳酸が肝臓でグルコースへ変換しきれず、肝臓のオーバーワークを招いている事も考えられる為、呼吸にも意識を向けます。まずはどれか1つでも、改善しようと取り組む事が大切です。その上で、たんぱく質やビタミン(特に肝臓の働きを助けるビタミンB1)を多く摂るようにします。もやし、ごま、お味噌、しじみ、緑黄色野菜、ブロッコリー、貝類、タコ、エビなどを、栄養価が高い旬の時季に出来るだけ摂るようにします。

 

 

・ホルムアルデヒドの代謝物のギ酸による代謝性アシドーシスを避ける為、体内㏗バランスに気を付けます。

→ギ酸の代謝を助けるため、葉酸を多く含む食品を摂ります。更に酸性を解消する為に、日々の食事にアルカリ性食品を取り入れるよう心掛けます。便秘改善効果も期待し、重曹クエン酸水で炭酸水素イオン(HCO)の補給を行います。

 

 

 

⑥食材と食事の一例

 

 

☆便通改善、腸内環境改善に期待できる食品

  • 発酵食品(味噌、醤油、漬物)
  • きのこ
  • こんにゃく(芋)
  • ごぼう
  • 納豆
  • 切り干し大根
  • 干し椎茸
  • オクラ
  • おから
  • 海藻
  • 豆類等

 

☆楽しく飲酒できるように、アルコール代謝を助けてくれる食品

  • ほうれん草
  • 枝豆
  • 芽キャベツ
  • 海苔
  • わかめ
  • 落花生
  • アスパラガス等

☆肝臓の代謝を助けてくれる食品

  • 豚肉
  • 海苔
  • 豆類
  • 卵黄
  • キャベツ
  • 玄米
  • 落花生
  • 枝豆
  • 大根等

☆代謝性アシドーシスにならない為に、身体の酸性を緩めてくれる食品

  • 大豆製品
  • じゃがいも
  • 人参
  • 大根
  • ごぼう
  • キャベツ
  • かぼちゃ
  • サツマイモ
  • 梅干し
  • 海藻類
  • 海苔
  • わかめ
  • ひじき
  • ほうれん草
  • 白菜
  • トマト
  • きゅうり
  • アスパラガス
  • りんご等

 

↑この中から組み合わせて私が作れそうなものの一例です。カロリーや塩分は加味していませんが、基本的に薄味を心がけています。

 

 主食:白米に玄米や大麦を混ぜた麦飯

 主菜:豚肉の生姜焼き(豚肉、玉ねぎ、生姜)

 副菜:切り干し大根の煮物(切り干し大根、人参、干し椎茸、油揚げ)

 副々菜:ほうれん草のお浸し(ほうれん草、ごま)

 香の物:糠漬け(カブ)

 汁物:味噌汁(すりおろしたごぼう、味噌、豆腐、わかめ、ねぎ)

 

食べた後の体調を考えると、私は大豆などを使って、出来るだけ肉食しない方が身体にあっているようです。ベジタリアンやヴィーガンのようにはなれていませんが、出来るだけ自分の身体にあっていると感じる食材を選んでいます。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

必要な方に届きますように☆彡