【本の紹介】現代語訳 論語と算盤 | シロアリコードレスボッチの具

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現代語訳 論語と算盤

渋沢栄一 著 守屋淳 訳 ちくま新書(2010年)

 

 渋沢栄一とか言われても全く興味がなく、新しい一万円札に載る人くらいにしか知らんかったですが、リベ大で紹介されていた「論語と算盤」をブックオフで中古で買って読みました。「論語」とは倫理とか道徳とかのことで、「算盤(そろばん)」とは商売のことです。要するに、ビジネスをするには道徳がなくちゃいかんよね、ということが書かれた本です。

 

 渋沢栄一という人は、明治維新の時期に活躍しており、つまり、サムライがちょんまげをしていた江戸時代から、明治の時代を生きた人です。そんな昔の人が書いた本なので、クソ古いんですが、こういう古い名著を読んで何を思うかというと、人間は昔からなんも変わってないな、ということです。つまり、ホモサピエンスの環境に対する形質変化には限度がある、ということです。

 

 「明治維新以降に商売が発展してくると、他人を蹴落として金儲けしようとする輩が出てきてけしからん。むしろ江戸時代のほうがみんな教育されて人格が優れていた。おまえら、もっと人格を磨いて社会を良くしていこうぜ!」ということが書かれている本ですが、それから社会はどうなったのでしょうか?今の世の中をごらんなさい。SNSはネット詐欺の皆さんがみなぎっております。これが人間の限界なのです。

 

 江戸時代から考えると、ものすごく科学技術が発達した現代ですが、どの時代にもウンコみたいな人間が一定数いて、優れた人間が一定数います。そして、その社会全体としての知能レベルは、時代を経ても全く進化してない、ということがこういった古い本を読むとよく分かります。令和の人間が100年以上前の本を読んで、「昔の人はレベルの低いことを考えてたんだな」などと一切感じずに、内容に共感でき、ベストセラーになってるということがその証拠です。平安時代の枕草子もなるほどと思うし、1万年前の原始時代からも、人間のレベルは変わってません。ただ単に環境がちょっと変わっただけです。