ワニ子の誕生日プレゼントのチョイスがぶっ飛んでいた。


小学校の時は誕生日だと友達を呼んでケーキを食べて
プレゼントを渡して、というのが当たり前だった。自分もそんな
誕生日会を開いてもらえる!と誕生日を心待ちにしていた。


私の7歳か8歳の誕生日であった。仲良しの友達を呼んだ。
ワニ子が得意だ!と自分で言う混ぜご飯をみんなにふるまった。

この混ぜご飯は酸っぱ過ぎる!今でも酸っぱく感じるのだから、
誕生パーティーのご馳走を楽しみにしてきている子供にとっては、
悲劇的な味だった。


だが、この日はそれよりも悲劇的な事がみんなを待ち構えていた。

ワニ子が
「お母さんからのプレゼントは、みんなに
  も聞かせたいプレゼントなんだぁ!」

といい私達にラジカセのテープをセットさせた。


再生。


ベンベンベンベンベロ~ン

聞こえてきたのはびわの楽器の音と低くて暗い男の声。
更にベンベンベンとびわの音が強くなる・・・

亡霊がくるから坊主がお経を体に書いたのに、
耳だけ忘れて、
耳を亡霊にちぎられた・・・


そう、ラジカセから流れ出したのは、怪談耳なし芳一・・・


みんな既に酸っぱい混ぜご飯耳なし芳一で吐きそうである。
まるで何かの罰ゲームである。


結局、その時の私の誕生日プレゼントはコレだけ。
誕生日パーティーでご馳走を期待していた友達は、
酸っぱい混ぜご飯を食べさせられた挙げ句、
耳なし芳一の怪談を無理やり聞かせられて
帰っていったのです。

ある意味一生忘れないプレゼントと言えるでしょう。

みみなし



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