百年文庫『架』より。
しろあです。
これまた面白い作品です。
では早速、コピペ!
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百年文庫『架』より。
火野葦平さんの『伝説』。
河童の世界。一匹の若者が行方不明になった。
その謎を追う名探偵が登場、謎の美女も現れる。
名探偵は余裕のていだが若者は一向に見つからない。彼は昇天してしまったのか?
作者・火野葦平の元に届く、河童の若者からの手紙と小説。
そこには「きっとこの作品は芥川賞をとることができます。
是非応募してください」と書かれてあったーー
火野葦平(ひのあしへい)さんは部類の河童好きだったそうです。
支離滅裂な展開も、河童が書いたと思うと微妙にリアリティもある不思議な作品でした。
芥川賞への応募、というところに河童にちなんだユーモアを感じられますね。
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小説の内容は支離滅裂な話なんですが、
その作者が河童であるということが面白い。
その河童が、河童マニアの作者に作品を送り、
代表作『河童』の芥川龍之介の賞へ応募してねとお願いする。
そこまでがこの作品の構成になっており、そのパッケージの作り方が凄く面白い。
そして河童が書いた小説の内容も、まさかのミステリー仕立て。
普通に河童の生活を描くだけでも興味深く面白いんですけど、
ミステリーにする発想、作品はこれ以外にはないんじゃないでしょうか?
ミステリーとしては不完全な情報提示に感じましたが、
そこはそれ、河童が作者と考えると許せる。
しかもよくわからない部分も ”実はこういうことなんじゃないか” と
推測しながら読む面白さがある。
是非この不思議な読書体験を楽しんでいただきたいと思います。