『ヤンチャなやつがいるんだけど、しばらく面倒見てやってくれないか?』

というオファーを、ウチの社長が気楽に引き受けて、

ワシに丸投げしてきた。


社長『シロに任せたわ。シロならいけるやろ』


前に書いた小学生で親に捨てられてカップ麺を泣きながら食べていた青年が更生したのはまた別の話ね。窃盗と喧嘩を繰り返して、ワシに合ったときも、オレ喧嘩強いんすよ!と言ってきたけど、何か懐いてくれたので優しい子犬みたいになって、真面目人間へと変身してくれた。


ワシ、ヤンチャ担当じゃないんですけど真顔


丸投げの彼、いかにもヤンチャそうな見た目、半グレですね?みたいなwww


まあ、何か彼も懐いて、初めはイキり散らかしていたけど、ジュース買ってきたっす!とプレゼントしてくれたり、猛烈に勉強してくれた。


初めて勉強とか頑張ることが面白いと思ったっす!一生シロさんについていきます!みたいに言ってくれて。


一年後、大化けして最優秀まで登り詰めて、ワシの手を離れた。


シロさんに見せたくて!と子供連れて奥さんと挨拶来てくれたり、まあ、見た目は相変わらず半グレみたいだったが、

初めの殺し屋みたいな目が、優しい目になっていた。


それから数年後、彼は急死した。病気でね。


野良犬が懐いたみたいなね、狂犬がシッポふりふり子犬みたいだったから、

それが急死したって、何だかなぁ。


一生ついて行くっす!って言っていたのに、勝手にどっか行ってしまった。


半グレの見た目で、必死に勉強して、ワシのデスクに来る時、

いつもワシの椅子の横にしゃがんで、メモ取って、ワシが言ったことを忠実に守って、そのへんのお利口さんよりお利口さんだったわ。


カッコつけてヒゲ生やしていたけど、ワシからしたら、ただただかわいかったぞ。


早く生まれ変わって、また近くをウロチョロして欲しい。


今日は社長に頼まれて、何をどうすればレベルアップするのか、色んな人を一日中面談していたけど、


ワシ、相談係でも更生ボランティアでもないし、ワシの急ぎの仕事も沢山あるんですけど真顔


人を変えようとするのは難しいし、それは変えたいこちらのエゴでしかない。


あっちの世界の方が、ワァ!楽しそうだよ!一緒に行こうよ!キャハハ!と相手が自ら上の段階にスキップして行かせるのがワシのやり方。


楽しい!やり方分かるし頑張れる!が一番良いと思う。


これを叶えるためには、すごいエネルギーを使うし、愛情たっぷりあげる必要がある。


大変だし疲れるけど、それ以上に自ら進んで頑張るようになるし、一気に信者みたいになる。


やり方は相手に合わせて、引き上げるポイントを見つける。
ここはワシの腕の見せ所。


オラァ!テメェ!やれよ!
と、やれば、渋々やるが続かないし、モチベーションが上がる訳もない。


愛情、気長、先を見せる、見本を見せる、それを何回でもやる。

三回くらい出来なかったくらいで何回も言わすな!とか、
前にも言ったよね!
なんて口が裂けても言わない。


信頼関係が大事。この人を信じて、この人の言うようにやれば上手くいく!と思ってもらわないと話にならない。


こちらのエゴを見せない。

自分が楽したいから目先の感情でものを言わない。

遠回りに思えても、それが結果的に最短で、優秀な人間を生み出す。


今回書いた彼でいうと、500人いて最下位くらいを一年で1位まであげたことになる。


これは奇跡でも何でもなくて、ああ、走りが一番遅い人を一年で一番速くなったら奇跡だけど、

これは頭の中の話だから、周りのアシストで成果は跳ね上がる。


初めの頃から跳ね上がらないので、辛抱が必要。


辛抱してあげている!我慢してあげている!なんて思う時点で、自分自身が何か勘違いしていると気づくべき。

自分の無駄な異常に高いプライドに気づくべき。


ヘコヘコ下に回る必要はないけど、無駄なプライドは捨てた方が良い。


無駄なプライドがある人の言うことで、人は動かないし、動いても渋々になる。


辛抱は基本装備なので、息を吸うみたいに当たり前にする。


シロさん、どうやって変えさせたんですか?別人のように優秀になって不思議です。
散々私たちがヤイヤイ言ってもダメだったのに!


という会話を指導者側の人間とよくするが、

口だけヤイヤイ言って、人を変えようとすること自体が頭悪い。


一手先じゃなくて、二手先、三手先を考えたら、ヤイヤイじゃないことはすぐ分かる。