「あ!あれ!」
僕は精一杯体を乗り出してその子を指差した。
「どれ」
雅史がキョロキョロと探す。
「ロングヘアの・・・。一人だけ職員用の入り口行った」
雅史もようやくその子に気づいて、「ああ、あれか」と答えた。
「こっからじゃ顔見えねえなあ」
雅史も体を乗り出してあの子を見る。
「可愛かった」
「へえ」
雅史はニヤッと笑うと、教室から出て行った。
僕も慌ててそれを追いかける。
あと十五分で、朝のホームルームが始まる時間だ。
着いた先は、職員用昇降口。
そこにはあの子の姿があった。
「あれだろ?」と雅史が指さした。
「おい、指さしたら悪いって」
こっちに気づいたらどうするつもりなんだよ、なんて思っていると・・・。
やっぱり目が合った。
きっと勘違いじゃなければ、あの子は僕を見て笑いかけた。