稲刈りの季節がやってきた。最近、TikTokや動画サイトでよく目にする稲刈りの光景。大きな五条刈りや六条刈りのコンバインが、まるで無言の静けさの中で、田んぼを滑っていく。
映像の中に広がるのは、雨や風で倒伏した圃場。水が抜けず、沼のようになっている場所も多い。草がぼうぼうで、稲と雑草の境界すら曖昧な圃場。農家の苦労がじわりと滲み出るようなシーンが次々に現れる。
そこでふと気になるのが、草だらけの圃場だ。コンバインは稲を刈り取るだけでなく、同時に脱穀までしてくれる便利な機械だ。ある程度稲が溜まると、脱穀されたものはコンテナへ移されるが、誰もその先を見せてくれない。
恐らく、コンテナの中は米と草のクズが混じり合った状態だろう。黒い種があるナンタラカズラのような雑草もしっかり脱穀され、米と混ざっているに違いない。そう思うと、僕は少し胸がざわつく。
これがその後どう処理されるのか?もし農協の共同乾燥施設に持ち込まれたら、一体どうなるのだろう。そこには、地域中から集められた米が一緒に処理される。丁寧に育てられた米も、雑草混じりの米も、すべてが同じ乾燥機で一緒にされるのではないか。
除草剤を使わない農業を尊重する気持ちはあるが、そんなゴミが混ざった米を目の前にしたら、誰だって少し考え直したくなるだろう。
そうして米が出来上がるまでの道程は、恋愛のように混じり合い、そして分かち難く絡み合う。