息子が受験する大学の出願書類の中に「志望理由書」がある。その名の通りこの大学へ進学を志望する理由を述べるもので、これを作成するのに息子は四苦八苦している。
なぜこの大学なのか、入学して具体的に何を学びたいのか、医師になって何をどんな風に貢献していきたいのが、その為に何が必要でどう実現していくのか…などなど、自分の考えをかなり深めて作成しなければならないようで、言語化が苦手な息子は大苦戦だ。
3月頃から取りかかっていて、初めの頃に原稿を見せてもらったことがある。
当たり障りのない、けれど中身も薄~いありきたりな感じで、まあ最初はこんなものか。そして自分の病気には一言も触れていなかった。息子に聞くと「文字制限があるから(800~1000字)病気のことを書くスペースがない」とのこと。病気のことに触れたくないのかなと思い、ふ~んと聞き流した。
何ヶ月か経ってから「志望理由書はどうなった?」と聞くと
なかなか上手くいかないようなことを言っていた。
「あなたはどうして医師になりたいと思ったの?がんで闘病して、今度は自分が誰かを助けたいと思ったって言ってたよね。あなたが経験したがんの闘病は、他の人が持っていない大きな強みでもあるよ。医師になりたいという熱意は、あなたが実際に経験して感じたことを自分の言葉で書くことで伝わるんじゃないかな。」というような事を話した。
病気のことに頼りたくないという気持ちはあるんだろう。でも、がんの闘病は息子の原点でもある。医学部を志望する理由を述べる時にそれは避けて通れないし、それを避ければ息子の熱意は伝わらないだろうと思う。
先日息子の部屋に入った時に机の上を見たら、志望理由書の原稿があった。目を通してみると初めのころの文章とはだいぶ変わっていた。中学生の時にがんを経験したこと、入院中の不安な気持ち、主治医が毎日病室に来てたくさん励ましてくれて、自分もこういう医師になりたいと思ったことなどが書かれていた。
相変わらず文章は拙いけれど、以前よりは読み手に伝わるものが多くなった。でもまだまだだな。
出願は9月。共通テストのための勉強もしなければならないし、学校の夏期講習は毎日あって夏休み中も大忙しだ。まだまだこれから。頑張れ息子。