ネクタイ外して野良へ・(91)「シリウスふぁーむ」誕生の始まり
萱の里の土地を買って3年目、2002年の春になってバカだ、血迷ったかと言われるかもしれないが、ぼくとドーリさんは、再び土地を探し始めた。
萱の里にあれだけの土地がありながら、なぜ新たな土地を探し始めたのには、それなりの訳があった。
それは、もう少し広い農地が欲しかったからである。
なぜ農地がほしかったというと、百姓になろうと思ったのである。
そろそろサラリーマンを卒業して、ドーリさんと共に次の人生へのステップをしようと考え始めていた。
決してサラリーマン生活に嫌気がさしていたとか、職場環境が悪かったとかいう訳ではない。いろんな部署に転勤し、そのたびに新しい仕事や人間関係を築いて行ったのは結構楽しかったし、それぞれの職場の上司や同僚・後輩たちも実にいい人たちに恵まれて、何一つ不満に思うことはなかった。
それでも、定年まではまだ8年あったが、この「ネクタイ外して野良へ」のシリーズの最初のころに述べたように、体力も気力もあるうちに、次の人生のステップを踏み出したかったのである。
(サラリーマン生活最後となった職場)
サラリーマン生活や職場環境に嫌気がさして、次のステップに進むのと、絶好調の時に進むのでは雲泥の差がある。
もしも嫌気がさして進むのなら過去は否定し、ここからしか未来はない。しかし、そうでないなら過去は確実に未来につながっている。
サラリーマンという生活を捨てて進むのでは決してない。それを糧として進むだけの話である。
いずれにしても、サラリーマン生活をやめようというのであるから、いわゆる「脱サラ」ということだろうか。
「脱サラ」で新規事業を起こす・・・などと言った派手なものではなく、「脱サラ」で百姓に・・・という実に地味なものであった。
ともかく、もっと広い「農業も工房も出来る土地」を探し始めたのである。
「シリウスふぁーむ」誕生のはじまりはここにあったと言える。
