『ケイコ 目を澄ませて』2022,三宅唱



年の瀬も押し迫ってギリギリ滑り込んできた怒涛の一発!これだから映画はやめられねえよ!マジで!

大傑作!

一部の隙もないとはこのことか。漸く下書きが完成した今年のベスト10の順位を全〜部書き換えなきゃ。実際とほほです(涙)。

まずはこれが拳闘映画だということ。拳闘と映画!これだけで映画的記憶が刺激されて痺れてくる。チャップリンやキートンへの敬意ある引用がこちらの背筋を伸ばさせる具体的な力学の磁場を形成する。

そして何度も何度も繰り返される人物の相似形と非相似形とのせめぎ合い。これもまた遥かにサイレント映画への慎ましやかなリスペクトが発信されている。

後は乗り物かなあ。夜の電車の立体交差のロングショット。ライティングの胸を締め付けてくる素晴らしさを一旦置くとしても映画的要素にどれほど乗り物が貢献してきたかをあらためて雄弁に証明する。

ショット、ショットのどこでカットするのかも、全く申し分はござりませぬ。ちょー気持ちよくて、快楽の極地ザンス。

岸井ゆきのが最高!!!!!!!
彼女の漏れなく、遍く、あらゆる、全てのショットの何でもかんでもどれもがめちゃめちゃ素敵過ぎる!中でもバストショットよりややアップサイズの最適としか表現しようのない構図の彼女の透明感たるやもうもう筆舌に尽くし難い。

本作品は必見中の必見であり、人間である以上、これを観ずして越年することは厳格に禁じられている。

  予告編


  作品データ


※以下出典根拠映画ドットコム

監督
三宅唱
原案
小笠原恵子
脚本
三宅唱、酒井雅秋
製作
狩野隆也、五老剛、小西啓介、古賀俊輔
エグゼクティブプロデューサー
松岡雄浩、飯田雅裕、栗原忠慶
企画
長谷川晴彦
プロデュース
長谷川晴彦
チーフプロデューサー
福嶋更一郎
プロデューサー
加藤優、神保友香、杉本雄介、城内政芳
撮影
月永雄太
照明
藤井勇
録音
川井崇満
美術
井上心平
装飾
渡辺大智
衣装
篠塚奈美
ヘアメイク
望月志穂美、遠山直美
編集
大川景子
整音
伊藤裕規
音響効果
大塚智子
助監督
松尾崇
ボクシング指導
松浦慎一郎
手話指導
堀康子、南瑠霞
手話監修
越智大輔
制作担当
大川哲史
キャスト
岸井ゆきの、三浦誠己、松浦慎一郎、佐藤緋美、中原ナナ、足立智充、清水優、丈太郎、安光隆太郎、渡辺真起子、中村優子、中島ひろ子、仙道敦子、三浦友和
製作年
2022年
製作国
日本
配給
ハピネットファントム・スタジオ
上映時間
99分

  解説


「きみの鳥はうたえる」の三宅唱監督が「愛がなんだ」の岸井ゆきのを主演に迎え、耳が聞こえないボクサーの実話をもとに描いた人間ドラマ。元プロボクサー・小笠原恵子の自伝「負けないで!」を原案に、様々な感情の間で揺れ動きながらもひたむきに生きる主人公と、彼女に寄り添う人々の姿を丁寧に描き出す。

生まれつきの聴覚障害で両耳とも聞こえないケイコは、再開発が進む下町の小さなボクシングジムで鍛錬を重ね、プロボクサーとしてリングに立ち続ける。嘘がつけず愛想笑いも苦手な彼女には悩みが尽きず、言葉にできない思いが心の中に溜まっていく。ジムの会長宛てに休会を願う手紙を綴るも、出すことができない。そんなある日、ケイコはジムが閉鎖されることを知る。

主人公ケイコを見守るジムの会長を三浦友和が演じる。

  関連商品