『さよならほやマン』2023,庄司輝秋



こういう映画は肩入れしたくなる。アツくなる。嗚呼みんなに観てほしい。ひとりでも多くの人に観てほしい。なんてブルージーな熱血映画なんだ。

予告編で観た自主映画の延長線上のラフでチープな仕立てかと思いきやじっくり丁寧に作り上げていて驚きました。

もう兄弟2人とも本当に素晴らしい。ほとんど地元の人、地元の悪ガキ兄弟。そこにぶらっと異人来訪。この漫画家を演じる呉城久美が更に素晴らしい。ああこんな作品に不意打ちされて今年の年末はめっちゃ幸せだ。

家族のカタチ。島で生きること。震災。無根拠な暴力に等しい喪失。ここではないどこかへの憧れ。淡い恋愛と純情。停滞から再起動。遠い再会と癒しと再生。

これ全部映画になる。全部この作品に入ってます。

中でもアフロが松金よね子の手を握るシーンはもうこれが傑作だと雄弁に証明している。最後のドローンの俯瞰の空撮まで、軽快なノンストップムーヴィー。明日に向かって大爆進!

ミニシアター系映画の典型かもしれないけど、日本のどこかで上映見つけて観に行ってください、ぜひぜひぜひぜひ。鉄板のオススメです。

=====

追記します。

あんまり書きたくなかったけど、やっぱり書きます。

2023年は『さよならほやマン』と『ゴジラ-1.0』がほぼ同時に公開された年として記憶されるべきです。両作品で描かれている極めて近似だが、決定的に非なる「家族のカタチ」。このデリケートな差異を今後見抜いていく眼が要求されていくのです。

  予告編


  作品データ


※以下出典根拠映画ドットコム

監督/庄司輝秋
脚本/庄司輝秋
企画/山上徹二郎、押田興将
製作プロデューサー/山上徹二郎、押田興将、小田桐団、波多野文郎
アソシエイトプロデューサー/新井真理子
キャスティングプロデューサー/鈴木俊明
ラインプロデューサー/山上賢治
撮影/辻智彦
照明/辻智彦
録音/小川武
整音/小川武
美術/澤野五月
装飾/澤野五月
衣装/宮本茉莉
ヘアメイク/櫻井安里紗
アニメーション/Carine Khalife
カラリスト/鯉渕幹生
VFX/竹内一歩
編集/鯉渕幹生
音響効果/中村佳央
音楽/大友良英
エンディングテーマ/BO GUMBOS
助監督/高野佳子
演出応援/七字幸久、野本史生
撮影応援/古屋幸一
漫画作画/山田菜都美
制作担当/柳橋啓子
キャスト/アフロ、呉城久美、黒崎煌代
阿部シゲル、津田寛治、澤口佳伸、園山敬介、松金よね子
製作年/2023年
製作国/日本
配給/ロングライド、シグロ
上映時間/106分

  解説

宮城県石巻市の離島を舞台に、漁師の兄弟と東京から来た漫画家の奇妙な共同生活と家族の再生を描いたヒューマンドラマ。

豊かな海に囲まれた美しい島で一人前の漁師を目指すアキラと、生まれつき障がいを抱える弟のシゲル。両親は行方不明で莫大な借金を抱えているが、島の人々に助けられながら、どうにか暮らしている。そんな彼らの前に、都会からやって来た訳ありの女性漫画家・美晴が現れる。美晴は兄弟に彼らの家を売ってほしいと言い出し、3人はなぜか一緒に暮らすことになるが……。

2人組バンド「MOROHA」のMCアフロがアキラ役で映画初主演を務め、NHK連続テレビ小説「まんぷく」の呉城久美が美晴、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」の黒崎煌代がシゲルを演じる。本作が長編デビューとなる庄司輝秋監督が、自身の故郷である石巻でオールロケを敢行した。

  関連商品