『ゴダールの映画史』。

相当覚悟して鑑賞開始。

苦行、苦痛、難解、退屈、諦観。

寝落ち覚悟の四時間半。

かも。

一応前夜睡眠十分とって、軽食摂って、雑事雑音が入らない環境を作って鑑賞。

結果、深いため息とめっちゃ楽しい時間。

四時間半がホントにあっという間。

まず何よりもブレッソンを観る時のような千日回峰行の修行僧になる必要は全くありませんでした。

むしろ自由。

流れる。

怒涛の映画の断片の波の重なりに巻き込まれて漂うような心地良さ。

何よりも豊かだ。

おもちゃ箱ひっくり返していつまででも遊んでいられる。

今後何十回、何百回、何千回の鑑賞に耐えられる豊穣のテクスト。

多分この作品以上に再鑑賞に耐えられる映画は無いと思います。



いやあ興奮しました。

こんな風に映画作ってみたいもんです。

あのヌーヴェルヴァーグの人。

神話的映画人。

わけわかんない哲学者。

…じゃなくて。

誰でも作れる。

多分。

それがまた恐ろしい。

基本金かけてねええ。

そもそもヴィデオだもんね。

しかも今回私はDVDで自宅鑑賞と言う手軽さ。

新しいのは自分の身の回りの断片映像。

正にYouTubeを既に予言している。

別に偉くもないけど。

今更テクノロジーによる民主化なんてテーゼ珍しくもないわ。

あとはもう引用の嵐、嵐、嵐。

この出鱈目ブリ。

ほんんんっっっと、キモチえーわー。

いつまでこの断片の中でプカプカ漂っていたい、スターチャイルドみたいに。

ゴダールせんせ、結構エロ系のセックスフィルムの断片が多くて驚きました。

まあある程度予想はしてたけど、なるほどこれはたしかに『ゴダールの映画史』ですわ。

ナチスプロパガンダについても触れられているけど不謹慎にもそんな映像にすら魅入られていってしまう。

全く恐ろしいことです。



一番うれしかったのはオーヴァーラップの多用。

多用なんちゅー甘っちょろいもんじゃねえ。

オーヴァーラップが主人公。

ああ映画だよなあ。

これが映画だよなあ。

ホント映画だよなあ。

うれしい、うれしい、うれしい。

場所と時間の経済性。

映画的表現。

水についても本当に美しい引用がいくつかあって水が大好きな私はいたく感動しました。

スローモーションも結構多用されてました。

そこにオーヴァーラップが入る。

スペイン内戦かなんかのドキュメンタリー断片?

観る者は否応なくそこに意味づけしてしまう。

この恐るべき政治性よ!!!!!

今んとこここまでかな。

音とかも話してえなああああ。

何回も観るわ、一生かけて。

どうかなあ。

これ観る前に『ゴダールのマリア』観たんですけど?こっちの方は間違いなく必見。

だけど『…映画史』はどうなのかなあ。

この四時間半は観る人をかなり選びそうな気がする。

でもゴダールの中では一番「民主的」で「学術的」な気もする。



以下出典根拠Wikipedia

監督脚本編集/ジャン=リュック・ゴダール
撮影/ジャン=リュック・ゴダール ピエール・バンジェリ エルヴェ・デュアメル
録音/フランソワ・ミュジ ピエール=アラン・ベス ジャン=リュック・ゴダール
製作/Canal+ CNC JLGフィルム France 3 La Sept Gaumont ヴェガ・フィルム
出演/ジャン=リュック・ゴダール ジュリー・デルピー サビーヌ・アゼマ アラン・キュニー ジュリエット・ビノシュ セルジュ・ダネー ジャン=ピエール・ゴス アンヌ=マリー・ミエヴィル アンドレ・マルロー パウル・ツェラン エズラ・パウンド 

構成
1A すべての歴史 1A Toutes les histoires 1988年 - 1998年 51分
1B ただ一つの歴史 1B Une histoire seule 1988年 - 1998年 42分
2A 映画だけが 2A Seul le cinéma 1994年 - 1998年 27分
2B 命がけの美 2B Fatale beauté 1994年 - 1998年 29分
3A 絶対の貨幣 3A La monnaie de l'absolu 1995年 - 1998年 27分
3B 新たな波 3B Une vague nouvelle 1995年 - 1998年 27分
4A 宇宙のコントロール 4A Le contrôle de l'univers 1997年 - 1998年 28分
4B 徴(しるし)は至る所に 4B Les signes parmi nous 1988年 - 1998年 37分