『おとうと』。

先日『青いパパイヤの香り』では、室内セットにおけるドリー撮影の素晴らしさを堪能しました。

あったあった、まだあった、ニッポン映画にもございましたよ〜♫

言わずと知れた市川崑大センセ。


なんじゃこのセンス?

いや、かっちょええ!

スタイリッシュ!

右から左へ流れる。

ほへ〜。

すごい。


基本室内。

和建築の暗がりをフィルムに収める。

単に横へ移動するだけじゃあなくてシャープにカットを割っちゃったりする。

なんですか、これ?

凄すぎて脳みそ追いつかない。

ダイアローグの処理の格好良さ。

カット割で家族構成とその力関係と性格付けがバチっと理解できる。

茶箪笥を擦り抜けて岸恵子がリズミカルに川口浩の部屋に入ってくる。


このワンカットだけで私には十分。

なんてスタイリッシュなんだろう。

全然古くない。

古くないどころか今観ても極めて斬新。

ダイアローグの映画。

例えばゴダールなら途端に「実験映画」になっていただろう。

市川も同様に実験精神は旺盛だ。

ただ「理解」させることを手放してはいないよね。

エンターティナーとしての役割も果たしています。


岸の捌く箒の素晴らしさ!

姉弟の喧嘩シーンは、あれ、ほとんどセックスです。

あとは?フィルムの洗い方とか「銀残し」とか。

宮川一夫のカメラもシャープ!

ぜひご覧ください。


以下出典根拠Wikipedia

監督/市川崑
脚本/水木洋子
原作/幸田文
製作/永田雅一
出演/岸惠子 川口浩 田中絹代 森雅之 仲谷昇 浜村純 岸田今日子 土方孝 夏木章 友田輝 佐々木正時 星ひかる 飛田喜佐夫 伊東光一 江波杏子ほか
音楽/芥川也寸志
撮影/宮川一夫
編集/中静達治
1960年大映


あらすじ
小説家の娘であるげんは、放蕩者に身を落としている弟、碧郎の世話を甲斐甲斐しく焼いていた。それというのも、父の後妻である厳格なクリスチャンの義母が子供たちを冷淡に扱うからだった。