『ある映画監督の生涯 溝口健二の記録』。


ドキュメンタリー・バイ・新藤兼人(汗)。


どこまでも生真面目な新藤兼人がきっちりとドキュメンタリーを撮る。


溝口へのリスペクトを感じない訳ではもちろんない。


でもどこかで醒めた冷徹な視点。


当時の科学実験教材風。



当時の「今じゃなきゃ収録できない」という焦燥。


ほかにやる人もなく。


やらざるを得ず。


考古学的映像資料。


そして今やその通りになった。



監督した新藤自身がすでに鬼籍に入って久しい。


綺羅星の如し。


「日本映画」レジェンド、レガシー達のオンパレード。


実際胸が痛くなるほど。


そこに居ないのは唯一人溝口健二だけだ。



もちろん溝口の作品を時系列で振り返るプログラムではありますが、本当のテーマはサイレント期から黄金期、やがて翳りを見せるところまでの日本映画史です。


日本映画が日本映画たり得ていた時代を一切のセンチメンタリズムを排しインタヴューだけで繋ぎ切ったところにこの作品の素晴らしさがある。


今となっては証言者は全てお亡くなりになっておられると思います。


生前の川口松太郎や宮川一夫の姿、肉声に接するだけでも背筋が伸びます。


必見の一本です。



以下出典根拠Wikipedia


監督脚本製作総指揮/新藤兼人

撮影/三宅義行

編集/近藤光雄 藤田敬子

取材協力者/田中絹代 依田義賢 成沢昌茂 浦辺粂子 林美一 川口松太郎 中野英治 絲屋寿雄 酒井辰雄 荒川大 森絲子 入江たか子 永田雅一 内川清一郎 大洞元吾 香川京子 木暮実千代 山田五十鈴 三木茂 牛原虚彦 山路ふみ子 津村秀夫 京マチ子 伊藤大輔 坂根田鶴子 音羽信子 宮川一夫 岡本健一 甲斐荘楠音 中村鴈治郎 進藤英太郎 柳永二郎 小沢栄太郎 増村保造 若尾文子 高津嘉之 安東元友 大野松治ほか