『舞踏会の手帖』。

性懲りもなくジュリアン・デュヴィヴィエ。

ファンの皆さんごめんなさい。

ファンの方はどうか以下をパスしてください。

私の生涯の中で最も苛烈にこき下ろした『旅路の果て』以来のレビューとなりました。


まずはショートストーリー構成。

ヘーゲル的因果律とパラダイムチェンジの世界観、って言っていいのかな。

時空と空間は単線的ではなく複雑に入り組む。

構造的には『去年マリエンバート』の母体となった。

また『旅路の果て』も近似構造。


この辺のゲージツっぽさが、デュヴィヴィエではなくデュヴィヴィエしぇんしぇいと蔑称してしまう原因か。

しかしながら。

冒頭セットではなくロケから始まる。

山あいの湖。

パンしながらズームで寄り、ワイピングしながらのオーバーラップ。

あるいはフェードイン・フェードアウトの多用。

今回のような物語には効果的。


場面転換。

今度は室内のセット撮影。

パンや移動のさりげなさ。

自意識の裏返しとしての構図の優越性。

様式美のおまけとしての運動性。

絵画や演劇の優越感と映画の自虐的劣等感。

ゲージツ的であり、かつ、大文字の芸術でもある。

スカートのレースの揺れ具合。

幻想の回想シーンのとば口。

シルエットの配置の仕方。

相変わらずデュヴィヴィエ特有の息苦しさを感じてしまいました。

残念ながらセリフセリフセリフのシーンも散見しました。

ロケの開放感がありながらホントに残念。

いわゆる「ザ・名画」ザンス。


以下出典根拠Wikipedia

監督/ジュリアン・デュヴィヴィエ
脚本/アンリ・ジャンソン
音楽/モーリス・ジョベール
撮影/フィリップ・アゴスティーニ ミシェル・ケルベ ピエール・ルヴァン
編集/アンドレ・ヴェルサン
出演/マリー・ベル フランソワーズ・ロゼー ルイ・ジューヴェ アリ・ボールほか
1937年フランス

あらすじ
未亡人になった若いクリスティーヌが、16歳の時の初めての舞踏会の手帖を頼りに、昔の踊り相手を訪ねて回る。