『次郎長三国志 〜大馬鹿者でござんす。』。

公開年は2008年です。

またまた泣ける映画に出逢ってしまいました。

ささやかですが、この時代に「次郎長もの」を撮ろうなどという馬鹿げた無謀極まりない人間がいたことをまずは寿ぎたい。

出演者リストに目を留める。

ため息。

もちろん出演者一人ひとりを非難するのではない。

むしろリスペクトします。

ましてや何の恨みもなく、普段はファンと言っても良い俳優が散見する。


しかしながらついため息まじりに呟いてしまう。

日本映画。

ここまで落ちたか。

日本映画の貧困、ここに極まれり。

そうではない。

すでに質量共に異なるのだ。

あの頃と現在とを「日本映画」という同一ワードで括ろうとすること自体が間違いなのだ。

「日本映画」同じワードで違うものを表象することの滑稽。

正論だ。

わかってるよ、そんなこと。

わかっちゃあいるけど比べちゃう、あの頃の次郎長と。


三度笠、橋上の長回し、行き帰りのカットバックと省略編集、滝と紅葉、竹林の斜面などなど、涙ぐましい。

チャンチャン、バラバラ。

チャンバラ活劇。

意識的な反リアリズム。

お決まりの勧善懲悪。

ここまで愛を注いでもこんな出来にしかならない。

そのことが現実=リアルと言う皮肉。

このアイロニーにしばらく涙が止まらなかった。

日本映画はいまだ夢たりえるか。

問題提起の一作。


以下出典根拠Wikipedia

監督/マキノ雅彦
製作年/2008年
配給/角川
プロデューサー/坂本忠久
原作/村上元三
脚本/大森寿美男
企画/鈴木光
撮影/加藤雄大
音楽/宇崎竜童
美術/小澤秀高
殺陣/玄海竜二
出演/中井貴一 鈴木京香 岸部一徳 北村一輝 温水洋一 近藤芳正 笹野高史 竹内力 ともさかりえ いしのようこ とよた真帆 烏丸せつこ 荻野目慶子 草村礼子 朝丘雪路 高知東生 佐藤浩一 竹脇無我 螢雪次郎 長門裕之ほか

あらすじ
渡世の旅に出ていた駆け出し博徒の次郎長が、道中で仲間を加えて、故郷の清水へ帰還した。