一昨日、西区民文化センターにて開催された自主映画上映イベント「広島発ヒロインアクションチャンピオンまつり」に足を運んだ。
昔、東宝が夏休み期間中にやっていた「東宝チャンピオンまつり」を意識したタイトルが付いた、ヒロインアクション映画に特化した上映イベント。2020年3月に開催予定だったが、コロナ騒動により2度延期を余儀なくされている。
開催前日から緊急事態宣言に入ったのでどうかなと思ったが、無事にというか、ようやく開催された。1年半、待ちくたびれた。
最初に上映されたのは、『ザ・争奪戦っ!』。「神宮寺真琴」シリーズ等といった広島発ヒロインアクションを胤森淳監督が撮った15分弱の短篇作品。演劇に興味を持ったJKが小劇団を探しにきたら、JKをめぐって2組が着流しと忍者姿でチャンバラしまくるシュールな設定。全編広島市青少年文化センター内で撮影していて、クライマックスシーンは屋上で展開。スラップスティックコメディの色合いが強い印象で、劇中に出てくる小劇団の搾取する気満々なあからさまにブラック過ぎる契約書の内容には笑った。主演の実可子は撮影当時劇団B-LUCKS♪の劇団員で、劇団員達で結成されたユニット「スキャンブル」のメンバーとしてもステージ活動していたが、映画主演直後に引退した。忍者のイデタチでチャンバラを披露した愛里もB-LUCKS♪の劇団員だった。現在は劇団ぬるま湯に在籍。
続いて上映されたのは、福井のHOUND PROJECT制作による『BLOOD BLADE』。もうタイトル観ただけで分かってしまう。JKが森の中でゾンビ達をひたすら日本刀で斬りまくる、銃で撃ちまくる。それ以外の無駄が一切ないのがイイ。
インターミッションをはさんでからの後半は、稲葉司監督が主宰するシネマペロ制作の2作品が上映された。
『ストロベリークライム』は、カープ女子、バスケ女子、プロレス女子、リリアン女子の4人で悪を懲らしめる、『スケバン刑事』や『セーラー服反逆同盟』といった往年の集団少女アクションモノの要素を持った勧善懲悪の王道であった。星野佳世、JAY、滝川拳等稲葉作品でお馴染みの顔触れが出演。
そして『アイドルスナイパー』。連作シリーズを再編集して1本にまとめていた。以前広島の上映イベントで最初のエピソード部分だけ上映されたことがあったが、こういう形でちゃんと全編通して観られたのが嬉しかった。1話完結でつながりがないようでちゃんとつながりがあり、ラストエピソードに行くまでの高揚感もハンパでなかった。とにかく見応えがあった。
舞台挨拶も実施された。
胤森淳監督は、今回イベント開催にようやく漕ぎつけたことに万感の思いがあったことだろう。この日は監督最新作『YOSHIKOを探せ!!』をクランクインしたばかりであった。10月7日に開催される「広島殺陣フェス2021」での上映に向けて撮影中。
『BLOOD BLADE』を撮った岡田広監督。福井からはるばる広島にやって来られました。
稲葉司監督は広島出身。東京を拠点に自主映画を撮っていて、写真家としても活動しているようだ。胤森監督とは旧知の仲。ヒロインアクションモノだけでなく、東日本大震災発生前日の2人の少女の日常風景を描いた『3.10』を宮城ロケで撮っている。少女の1人を長崎俊一監督『西の魔女が死んだ』(2008)のヒロインだった高橋真悠が演じていた。
稲葉作品や吉松幸四郎作品の常連で、東京と広島を両拠点に活動している悪役俳優のJAYさん。『孤狼の血』と『孤狼の血 LEVEL2』にも出演している。監督業もやっていて、自身が主宰するJ.WIDE EntertainmentとHOUND PROJECTの共同制作で撮った最新作『別動捜査班ハンドキャノン』を編集中とのこと。
稲葉作品の常連女優・星野佳世さん。
『ストロベリークライム』でバスケ女子役を演じた川上清美さんは、子連れでステージに。
『ストロベリークライム』で怒るとコワイカープ女子を演じた久保田和泉さん。
心温まる風景もありました。
こういうイベントは、これからも開催して欲しいな。