前立腺癌に罹患すると PSA に結合している糖鎖の構造が変化します。健常者や良性疾患では糖鎖構
造としてα2,6 結合型シアル酸を持つ PSA(S2,6PSA)が多く、前立腺癌では糖鎖構造が変異してα2,3 結合型シアル酸を持つ PSA(S2,3PSA)が増加します。
S2,3PSA%は次の式のとおり、S2,6PSA と S2,3PSA の総和に占める S2,3PSA の割合です。PSA 4~10ng/mL のグレーゾーンにおいて、S2,3PSA%は F/T(%)PSA より前立腺癌と良性前立腺疾患の鑑別に有用と報告されています。

【経緯】
2019 MRI 前立腺がんの疑い、経過観察
2020 PSA5オーバー
MRIで前立腺がん骨転移疑い→生検→生検2週間後検査結果でガンがあやしいからもっと詳しく見ると言われ→骨シンチ→CT→生検の詳細結果、「前立腺がんは確認できない」との最終結果。
2021/7 PSA:8.3 健康診断
2021/8 PSA:7.5 大学病院受診 MRIでガンあやしいが様子見
2021/12 PSA:7.4 様子見
2022/4 PSA:10.186
2022/7 2回目の生検受ける
2022/8 2回目の生検の結果(16本中0)ガンは検出されず
2022/8 PSA:10.259(人間ドッグ)
2023/2 PSA:6.865(-3.387)大学病院
2023/8 PSA:7.670(+0.805)大学病院
2024/2 PSA :8.979(+1.309) 大学病院
2024/9 PSA:9.325(+0.346)大学病院
2025/3 PSA:10.144(+0.789)大学病院
2025/7 PSA:9.70(-0.444)健康診断
2025/9 PSA:7.380(-2.320)大学病院
S2,3PSAの値、32.3%(カットオフ38%)
(微妙な値・・・)・ガンを 積極的に疑う 数値ではないので、PS A観察していきましょう。
・PSAは高いだけで、生検してもまたガン無しとなるリスクがあるので、S2,3PSAのような補助診断マーカーを使いながら不用な生検を低減するようなことが最近のトレンド。患者さんの負担を軽減できる。
・PSAの検査を続けていきましょう。
・S2,3PSAが50%をこえるとガンなんで、生検した方が良いとなりますね。S2,3PSAが38%を下回ってる人に積極的に生検を仕掛ける訳にはならない。
・32%だからといって、ガンじゃないとは言ってなくて、確率が低いというだけの話。
・PSAとMRIなど組み合わせ上昇しているPSAがガン由来では無さそうだ、というのを推定している、ただそれだけ。