わが家にはずっと犬がいるので、玄関チャイムが鳴ると、番犬モードが発動。

 吠える犬を黙らせるには、玄関扉を開け、相手を確認させるのが一番早い。

 幸い、どの犬も相手が確認できれば吠えるのをやめてくれる。

 いつまでも吠え続ける子はいなかったのが幸いだ。

 

 というわけで、いま住んでいる家にはモニター付きインターホンがあるのだが、一度も使ったことがなかった汗

 1秒でも早く、玄関扉を開けるのが重要なんで。

 

 しかし、いまの犬がだんだん年を取り、耳が遠くなってきたせいだろうか。

 チャイムが鳴っても、あまり吠えなくなってきた。

 なので、セールスだと面倒だし、せっかく付いてるんだから、できるだけインターホンを遣おうと思った。

 

 で、ある日。

 チャイムが鳴ったけど犬が吠えなかったので、

「はい」

 と応答したところ。

 

 誰だか知らないけど、元気よく、

「こんにちはー!」

 と言った。

 

 私も、

「はい」

 と再度応答し、しばらく待つ。

 

 だって、私にとってインターホンとは、

「誰が、何の目的で来たのかを知らせる」

 もの。

 私が他の家を訪問するときは、どれだけ短い言葉で、端的に用件を伝えることができるか、頭の中で繰り返し考えるくらいだ。

 

 だから当然、この客がこの後、名前とか用件とかを言うものだと思ってた。

 しかしその相手、それだけ言って黙ってしまった。

 

 は!?

 名前とか用件、言わないの!?

 

 あまりに想定外の事態に、

「どちら様ですか」

 って訊けばいいんだ、という、いたって簡単なことが思い浮かばなかった。

 何しろ、自分ちのインターホン使ったことがないからあせる

 

 まあ、結果として、来月から取ることになった新聞屋さんが、

「よろしくお願いします」

 って挨拶に来ただけなんだけどさ!!

 

 そんな挨拶、要らないしムカムカ

 たったそれだけのために、食事作りの手を止めて出て来いって言うんか!?

 それ以前に、仕事柄、たくさんの家を訪問してると思うし、いまどきはどこの家もまずはインターホンで対応って普通だと思うんだけど、それでこの対応!?

 

 ……って、ちょっとムカついた。

 でも、何事も勉強だ。

 今後は、もし名乗らない客が来ても、ちゃんとどちら様ですかって訊けるぞチョキ

 そして、名乗らないような客には、それなりの対応するぞ。