ある銀行へ行ったときのこと。

 

 その銀行の駐車場は、出入り口が狭いので、駐車場から出ようとする車と、駐車場に入ろうとする車がいた場合は、どちらかが下がらないとすれ違えない。

 

 私が駐車場に入ろうとしたら、ちょうど出ようとする車が出入り口付近まで来ていたので、下がって譲ろうとした。

 ところが、下がろうとした私の車のすぐ後ろに、既に車がもう1台来ていて、下がろうとしても下がれない状態だった。

 

 しかし、ただでさえ出入り口の狭い駐車場。

 おまけに、駐車場から出ようとしている車は車体が大きく、私がいくら軽自動車でも、このままではすれ違うのは絶対、無理。

 

 私はまず、ギアをバックに入れた。

 後ろの車もそれを見れば、私が下がろうとしていることに気づくはず。

 ところが、後ろの車が下がる様子は、全くない。

 

 次に私は、後ろの車のドライバーに向かって手を合わせながら頭を下げて、その後に手をひらひらさせ、

「申し訳ないけど下がってください」

 と手ぶりで示した。

 

 しかし後ろの車、それでも下がらない!

 年齢は、どうだろう。60代だろうか。

 じっと私の顔をにらむように見ているから、私が下がろうとしていること、そのためにはあなたもちょっと下がってください、と頼んでいることに、気づかないはずはない。

 でも、下がらない!

 

 こうなったら、駐車場から出ようとしている対向車が下がって、譲ってくれないだろうか。

 そう思ったけれど、対向車も全く譲る気はなく、私が下がろうとしているのをいいことに(?)、ちょっとずつだけど、どんどん前に出て来るガーン

 

 おいおい。この状況、解かんねえのかな汗

 

 対向車がどんどん迫って来るので、仕方なく実力行使とばかり、私はちょっとずつ車を下げた。

 私が車を下げ始めてもなお、後ろの車も微動だにしない!

 

 むっきーーームカムカ

 いい加減、どっちか下がって譲れよムキー

 なんで私1人が、板挟みになってこんなじたばたしなきゃいけないんだよ!?

 

 ……とは思ったけれど、何もしないと事態は変わらないし。

 やむなく、後ろの車に「お願いだから下がってよ~」というジェスチャーと、ほんの少し車を下げる、という行動を繰り返す。

 

 そうすれば対向車のドライバーには、私が何とか下がろうと努力してることは伝わるだろうから、

「なんで下がらないんだムキー

 って怒鳴られたりはしないだろうしね。という半ば投げやりな心境。

 

 もしこれで怒鳴られるようなら、私も怒鳴り返すけどねニヤリ

 前回書いた、突然怒鳴って来たおじさんのときみたいにね。

 

 それにしてもさー、対向車とすれ違うためには、もっともっと下がらないとダメなんだけど、いつになったら対向車か、後ろの車か、どっちか諦めて下がってくれるのかなー と思っていたら。

 対向車が、強硬手段に出た。

 思いっきりハンドルを左に切って、10センチ以上高さがある歩道の段差を、ごとごっとん! と派手な音させながら強引に下りて、左折して行った。

 

 大丈夫かな、すごい音してたけど。

 というか、そうまでして下がるの嫌だったのかな汗