あおり運転をした挙げ句、顔面を殴ったとして、男性が逮捕された。
被害者男性が、
「窓を開けたらダメだと思った」
というようなことを、インタビューで答えていた。
情報番組でも、
「なんで窓を開けたのかなぁ」
と言っている人がいた。
現代では、あおり運転に限らず、
「トラブルになりそうな相手が自分の車に近づいて来たら、窓を閉め、ドアはロック」
と言うのが常識らしいが。
今回逮捕された男性、あちらこちらで何度も強引な割込みや蛇行運転を繰り返していたが、料金所で止まったときに車から降り、この逮捕された男性に声をかけに行った人もいたらしい。
そうしたら、何も答えず去って行ってしまった、と。
相手を選んでいたのではないか、強そうな相手だったら暴行まではしなかったのではないか、という話も出ていた。
私が免許を取った頃の常識は、
「事故ったとき、自分が悪くないと思ったら、絶対謝るな」
だった。
何事かあったとき、ついつい、
「すみません、大丈夫ですか?」
と言ってしまいがちな日本人。
私もたぶん、第一声はそれだろう。
すみませんという言葉は、声をかけるきっかけとしても使われるが、同時に謝罪の言葉でもある。
つまり、
「すみません」と言う→謝罪した→自分の罪を認めた→つまりこの事故はおまえが悪い、おまえの責任だ。
という論理に持って行かれてしまうと困るので、自分に落ち度がない場合は謝るな。うかつに「すみません」とか言うな。ということだ。
おかげさまでこの年齢になるまで私は、人身事故は起こしたことがない。
しかし、車同士がすれ違うのは難しいくらいの狭い道路を走っていたとき。
向こうから、高級車っぽい大型セダンがやって来た。
運転者は50代、いや、40代だろうか。
窓を全開にし、腕を窓から出して、いかにも態度はデカい感じ。
まだ20代の小娘だった私には、「強面のおっちゃん」に見えた。
こんな怖そうなおっちゃんの車と接触したらえらいこっちゃ
ってことで、すかさず左に寄って車を止めた。
すれ違う自信がなければ止まれ。これも誰かから聞いていた。
停車したまますれ違うのを待っていたら、カッツン という音がした。
互いのドアミラーが接触したのだ。
しかし、動いていたのはおっちゃんの車だけ。
つまり、ぶつけたのはおっちゃんだ。私は悪くない。
「すみません」と言ってはいかんが、何も言わないのもどうかと思ったので、
「大丈夫ですか?」
とだけは声をかけた。
「おー、大丈夫や」
とおっちゃんが言ったので、
「私も大丈夫です」
と答えた。
実は、友人の友人が同じような接触事故を起こしたそうで。
友人の友人は女性。接触事故の相手は男性。
年齢はどちらも20代前半くらい。
ただし、接触事故の原因としては、
「どちらかと言えば女性の方が悪いんでないかい?」
というような状況だったらしい。
ところがこの女性、関西人ではないのに、関西弁で、
「何さらしてくれたんじゃ、おりゃあ」
というような意味のことを、どすのきいた声で言ったのだとか。しかも彼女、かなりの長身。
その迫力にすっかりビビってしまった相手の男性、自分は悪くないのに、
「すみませ~~ん」
と謝って、一目散に逃げて行ってしまった、と。
私の場合、停車していた私に過失はなかったけど、やっぱり、
「舐められたらあかん。気弱そうな態度でつけこまれてはいかん」
とは思った。
なので、いかにも態度のデカイおっちゃんにも「全くビビってませんよ」という顔をし、負けず劣らずのふてぶてしい態度を装ったのだった。
「そうか。そんじゃ」
みたいな感じでおっちゃんが通り過ぎて行ってくれたときは、心底ホッとした。
完全に自分に過失がある場合は、偉そうな態度を取っていると相手が気を悪くして、話がこじれてしまうといけないので、きちんと反省を見せないといけないと思うけど。
相手に過失がある場合だったり、あおり運転に巻き込まれたような場合は、あまり卑屈な態度は取らず、毅然と接するのも大事かもね。