皆さんでしたらもう、奇跡を信じてくださることでしょう。

不思議なことが不思議ではなくなり、

非現実が現実と背中合わせであることをですね。

 

台風の影響が強い東北です。

今日、とても懐かしい人のところに行きました。

尊敬できるお人ですが、共通の思い出をもつ「仲間」の様な関係です。

 

あれは、もう20年以上も前のことです。

夏の特に暑い日で、朝からすでにカンカン照りでした。

7月末か8月上旬くらいだったと思います。

わたくしの当時飼っていた犬が皮膚病になり、動物病院に通っていました。

そこの先生は女医さんで、いつだってよその半額のお金で診察してくださるのです。

先生は、治療が必要な野良犬や野良猫たちを病院の庭の一角に保護し、

無償で治療する方で、常に犬猫が数匹いる状態でした。

そこに子供たちが遊びに来たりしていました。

その日、病院の駐車場に車を止めて、飼い犬を降ろそうとしたときです。

犬小屋のところに女の子が二人いました。

1人の女の子の様子がおかしいことに気が付きました。

のど元を手で押さえ、口をパクパクしていました。

その時、一緒に居た子がアメを食べたと言いました。

その子の髪は汗でべっとり濡れておりました。

のどが渇いた状態でアメを食べ、のどに詰まったのだと思いました。

そののど元に手を置き、パクパクする様子は、

以前息子がアメを食べて、ノドに詰まらせた時のしぐさにそっくりでした。

幸い、小さいアメで、背中トントンで息子は吐き出せました。

女の子を抱え、大声で院内に入り、先生に伝えました。

女の子の顔がもう蒼白になっておりました。

先生は、従業員に「救急車!」と叫びながら背中を叩いていました。

「だめです先生! つながりません!」と従業員。

もうダメだもう、と思ったその時、

「逆さまに持ち上げるので、先生背中叩いて」と勝手に口をついて出ていました。

わたくしは女の子の腰をかかえて真っ逆さまにし、

先生は片手で気道を確保し、もう片手で背中をバンバン叩きました。

そのときです、大玉のアメガが転がり落ちました。

同時に女の子がギャーッと激しく泣き出しました。

結局、救急車が到着したのは7~8分後でした。

全てが終わってみると、足がガクガクと震えました。

先生と抱き合って、安堵でわたくし達も泣きました。

「母親は強いね」と先生がおっしゃいました。

私達だけだったら背中を叩くのが精いっぱいで、救急車を待っていた。

逆さまに抱えるという発想がなかったと。

いえ、わたくしも同じでしたが、瞬間そう感じたことを言いました。

後日、先生が「病院を閉鎖するしかなかった、命の恩人であり、病院の恩人でもある」と仰っていました。

わたくしは、考えておりました。

夏休みで子供が朝から来ていたことは不運でも、

あの日はわたくしがたまたま家を早く出て来たこと、

いつもは午後一番に行っていました。

以前息子で恐ろしい経験をし、そのしぐさに覚えがあったこと。

救急にすぐに電話がつながらなかったこと。

もしつながっていたら、わたくしも到着を待ち、逆さまにはしなかったのかもしれません。

それからわたくしはいろいろあって、引っ越したりと多忙となりました。

それでも、あの時の女の子はどうしているかな、先生はお元気かなと懐かしく思っていました。

いろんなことがかさなったその一瞬を「奇跡」と言うのでしょうね。

なぜ、先生にお会いしたのかといいますと、それは猫の避妊手術をするためです。

30日もまた手術があります。

お耳がサクラカットになったのは痛々しいですが、

そういったら地域猫であることがわかると思います。

猫の平均寿命は、室内飼いの猫で15歳、外飼いで13歳くらいだそうです。

その間、子を産む回数は何回でしょうか。

本当に動物を大切におもうなら、やはり去勢や避妊は必要なのだと思います。